『アポストロフィ(’)』50周年記念5CD+ブルーレイ・エディション9/13発売!

2024.07.26 TOPICS


フランク・ザッパ
アポストロフィ(‘) 50周年記念5CD+ブルーレイ・エディション

Frank Zappa / Apostrophe (’) 50th Anniversary Edition (5CD+Blu-ray)

9月13日リリース


★「アンクル・リーマス(ピアノ・アンド・ヴォーカル・ミックス2024)」が先行配信中。
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全米10位の大成功を収め、ゴールド・ディスクにも認定されたフランク・ザッパ最大の”ヒット・アルバム”の50周年を記念して発売される大ヴォリュームのボックス・セット。二公演分の未発表ライヴ音源を含む全75トラックを収録!

5CD+ブルーレイ(音源のみ)、52ページの英文ブックレットで構成。

「フランク・ザッパの膨大なカタログの中でも最大の人気を誇るレコードの50周年を祝うときが来た。
そのころ業界で10年のキャリアを重ねていたザッパは、『アポストロフィ(‘)』でも独自の音楽を展開した。フランク・ザッパは、誰とも違う音楽を鳴らしていたのだ。そしてこのアルバム――特に収録曲の「ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ」――は、フランクも含め誰も予期しない形で、そのユニークで素晴らしいサウンドを世間に広めることとなった。」

- ジョー・トラヴァース(ザッパ家のテープ倉庫管理人)

ブルーレイ・オーディオ(音源のみ):「ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ」がザッパ史上初めてシングル・チャートに入ったことや、表題曲「アポストロフィ (‘)」にジャック・ブルース(元クリーム/ベース)とジム・ゴードン(元デレク・アンド・ザ・ドミノス/ドラム)が参加したことなども話題となったザッパ最大のヒット作『アポストロフィ(‘)』。その全曲を、ドルビーアトモスと5.1chサラウンド(エリック・ゴーベルとカーマ・オーガーがスタジオ1LAで製作した最新ミックス)、ザッパ本人が制作した4チャンネル・ステレオ・ミックス (1974年以来、実に50年振りの公式リリース!) 、192kHz/24-bitおよび96kHz/24-bitのハイレゾ・ステレオ(バーニー・グランドマンによる最新マスター)の各種フォーマットで収録。

CD1:バーニー・グランドマン(バーニー・グランドマン・マスタリング)が製作したアルバム本編の最新マスターのほか、収録曲の別テイクや別ミックス(うち7トラックは2016年作『ザ・クラックス・オブ・ザ・ビスケット』に収録されたもの)、アルバム収録ヴァージョンには含まれていない6分間の演奏も楽しめるタイトル・トラックのアンエディテッド・マスターなどの関連音源を多数収録。

CD2 & 3:74年3月21日にコロラド州コロラド・スプリングス(正確な会場は不明ながら、シヴィック・オーディトリアムとする説が有力)で行われたステージの模様を収録。これはザッパ率いるマザーズ・オブ・インヴェンションの10周年記念ツアーの前哨戦として行われた全5週間のツアーの一公演で、有名曲の目新しいアレンジや当時の新曲、滅多に披露されることがなかった「バベット」の貴重な演奏などを聴くことができる。なお、70年にもマザーズに参加していたジェフ・シモンズ(ギター/ヴォーカル)らを含むこのときのラインナップによる演奏は、ザッパが公式リリースした作品には一度も収められていない。

CD4 & 5:74年11月20日にオハイオ州デイトンのハラ・アリーナで行われた公演の模様を収録。ザッパ(ギター/ヴォーカル)、ジョージ・デューク(キーボード/ヴォーカル)、ナポレオン・マーフィー・ブロック(テナー・サックス/フルート/ヴォーカル)、トム・ファウラー(ベース)、チェスター・トンプソン(ドラム)、ルース・アンダーウッド(パーカッション)から成る当時のバンドはザッパ史上最強の呼び声も高く、このデイトン公演はそのラインナップによる現存する最後のライヴ音源である。またCD4の冒頭には、74年3月のソルト・レイク・シティ公演で披露された人気曲「インカ・ローズ」の音源を併録。

英文ブックレット:ザッパ家のテープ倉庫管理人であるジョー・トラヴァース、英国人ジャーナリストのサイモン・プレンティスの二名による詳細なライナーノーツ、『アポストロフィ(‘)』の象徴的なジャケット写真を手がけたサム・エマーソン撮影の秘蔵写真等々を掲載。

【発売詳細】

UICY-80517 価格:16,500円税込

<日本盤のみ>
英文ライナーの完訳/歌詞・対訳付
SHM-CD仕様

▽曲目リスト
DISC 1(CD)
▼オリジナル・1974アルバム〜2024リマスター
1. ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ
2. ナヌーク・ラブズ・イット
3. セント・アルフォンゾズ・パンケイク・ブレックファスト
4. ファーザー・オブリヴィオン
5. コズミック・デブリス
6. エキセントリフューガル・フォルツ
7. アポストロフィ (‘)
8. アンクル・リーマス
9. スティンク・フット
▼アルバム・セッション・ボーナス・トラックス
10. ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ(ベーシック・トラックス/オルタネイト・テイク)*
11. ナヌーク・ラブズ・イット(ベーシック・トラックス/アウトテイク)*
12. ナヌーク・ラブズ・イット(セッション・アウトテイク)*
13. コズミック・デブリス(ベーシック・トラックス/テイク3)*
14. エキセントリフューガル・フォルツ(ミックス・アウトテイク)*
15. アポストロフィ (‘) [ミックス・アウトテイク] *
16. アンクル・リーマス(ミックス・アウトテイク)*
17. アポストロフィ (‘) [アンエディテッド・マスター/2024ミックス]
18. アンクル・リーマス(ピアノ・アンド・ヴォーカル・ミックス2024)

* 『ザ・クラックス・オブ・ザ・ビスケット』(2016年)収録トラック

DISC 2(CD)
▼ボーナス・コンサート#1:コロラド州、コロラド・スプリングス(1974年3月21日)
1. コロラド・スプリングス・’74・ショー・スタート
2. ヴィレッジ・オブ・ザ・サン
3. エキドナズ・アーフ(オブ・ユー)
4. ドント・ユー・エヴァー・ウォッシュ・ザット・シング?
5. バベット
6. アプロキシメイト
7. コズミック・デブリス
8. ピグミー・トワイライト
9. ジ・イディオット・バスタード・サン
10. チープニス
11. モンタナ
12. デュプリーズ・パラダイス・イントロ

DISC 3(CD)
▼コロラド州、コロラド・スプリングス(1974年3月21日)[コンティニュード]
1. デュプリーズ・パラダイス
2. イズ・ゼア・エニシング・グッド・インサイド・オブ・ユー?
3. フロレンティン・ポーゲン
4. カン・フー
5. ペンギン・イン・ボンディッジ
6. テマーシ・ドゥウィーン
7. ザ・ドッグ・ブレス・ヴァリエーションズ
8. アンクル・ミート
9. RDNZL
10. メドレー:キング・コング/チャンガズ・リヴェンジ/サン・オブ・ミスター・グリーン・ジーンズ

DISC 4(CD)
▼アーリー1974・ボーナス・ライヴ・トラック
1. インカ・ローズ(ユタ州、ソルト・レイク・シティ [74年3月18日])
▼ボーナス・コンサート#2:オハイオ州、デイトン(1974年11月20日)
2. トゥッシュ・トゥッシュ・トゥッシュ(ア・トークン・オブ・マイ・エクストリーム)
3. スティンク・フット
4. RDNZL
5. ヴィレッジ・オブ・ザ・サン
6. エキドナズ・アーフ(オブ・ユー)
7. ドント・ユー・エヴァー・ウォッシュ・ザット・シング?
8. ペンギン・イン・ボンディッジ
9. テマーシ・ドゥウィーン
10. ザ・ドッグ・ブレス・ヴァリエーションズ
11. アンクル・ミート
12. ビルディング・ア・ガール

DISC 5(CD)
▼オハイオ州、デイトン(1974年11月20日)[コンティニュード]
1. ダイナ・モー・ハム
2. カマリロ・ブリロ
3. ピグミー・トワイライト
4. ルーム・サーヴィス
5. トゥッシュ・トゥッシュ・トゥッシュ(エンド・ヴァンプ)
6. ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ
7. ナヌーク・ラブズ・イット
8. セント・アルフォンゾズ・パンケイク・ブレックファスト
9. ファーザー・オブリヴィオン
▼モア・ボーナス・スウィル
10. アポストロフィ (‘) TV CM
11. ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ(シングル・エディット)
12. ヨーテボリGTR
13. アプロキシメイト(バーゼル)
14. …ザ・プードル・バイツ…

DISC 6(ブルーレイ・オーディオ)
48kHz 24-bit Dolby Atmos, 48kHz 24-bit Dolby TrueHD 5.1, 96kHz 24-bit Quadraphonic, 192 kHz 24-bit & 96kHz 24-bit PCM Stereo
1. ドント・イート・ジ・イエロー・スノウ
2. ナヌーク・ラブズ・イット
3. セント・アルフォンゾズ・パンケイク・ブレックファスト
4. ファーザー・オブリヴィオン
5. コズミック・デブリス
6. エキセントリフューガル・フォルツ
7. アポストロフィ (‘)
8. アンクル・リーマス
9. スティンク・フット


<プレスリリース全訳>

 ロサンゼルス – 1974年を迎えたころのフランク・ザッパは絶好調だった。1973年9月にはマザーズのラインナップを刷新したことから生まれた大傑作『Over-Nite Sensation』をリリース。同作は熱心なファンからも新規のリスナーからも、いまなお拡大し続けるザッパの世界への入門編に最適なアルバムとみなされている。その『Over-Nite Sensation』の作風はまた、ザッパが1974年3月にソロ名義で発表した次作『Apostrophe (‘)』へと直接繋がるものだった。そして『Apostrophe (‘)』は、ザッパ史上(現在までに)もっとも大きな成功を収めたアルバムとなった――ここでいう”成功”とは、”もっぱら商業的(strictly commercial)”な意味である――。この作品はザッパのアルバムとして初めてアメリカでゴールド・ディスクに認定され、最終的にはビルボード200チャートで10位まで達した。さらに、どこまでも先進的で、何年経ってもキャッチーなシングル「Don’t Eat The Yellow Snow」もビルボードのホット100チャートを賑わせ、順当に87位をマークした。だがそれだけでなく『Apostrophe (‘)』は、宗教指導者を騙るペテン師や偽の超能力者などを厳しく糾弾した「Cosmik Debris」、現在まで続く人種的不平等を描いた「Uncle Remus」、終わりのない”臭いの恐怖”を表現した「Stink-Foot」などの人気曲も収録。それらの楽曲も、一般大衆の意識(と潜在意識)の中にザッパの存在をしっかりと刷り込んだのだった。『Apostrophe (‘)』は発表から50年が経った現在も、ザッパ史上屈指のベストセラー作品というだけでなく、その膨大なカタログの中でも屈指の人気作であり続けている。

 そんな『Apostrophe (‘)』の50周年を適切な形で祝うべく、50周年記念の拡張版が9月13日にザッパ・レコーズ/UMeより複数のフォーマットで発売される。中でも6枚組(5CD+ブルーレイ・オーディオ)のスーパー・デラックス・エディションには、計75ものトラックを収録。”Apostrophe (’): 50th Anniversary Edition”と題された今回の拡張版のプロデューサーを務めたのは、アーメット・ザッパとジョー・トラヴァース(ザッパ家のテープ倉庫管理人)だ。この拡張版には、バーニー・グランドマンが手がけたアルバム本編の2024年リマスター版のほか、テープ倉庫から発掘されたレコーディングのアウトテイク、収録曲の別テイク、さらにはクレイグ・パーカー・アダムスがリミックスと修復を、ジョン・ポリートがリマスターを担当した2024年版ミックスなどを併録。また、本パッケージには1974年に行われた二つの歴史的な公演――コロラド州コロラド・スプリングス(会場は不明)公演と、1974年11月20日にオハイオ州デイトンのハラ・アリーナで行われた公演――のライヴ音源も収められる。なお、収録トラックのうち7トラックは、すでに廃盤となっている2016年作『The Crux Of The Biscuit』(アルバムの40周年記念作品)で日の目を見ていたものである。

 ブルーレイ・オーディオには、カーマ・オーガーとエリック・ゴーベルがスタジオ1LAで新たに製作したアルバム本編のドルビー・アトモス・ミックスとサラウンド・ミックスも収録。この二人は、『Waka/Wazoo』(2022年)と『Over-Nite Sensation』の50周年記念版(2023年)でもドルビーアトモス/サラウンドの各ミックスを手がけて高い評価を得ている。このブルーレイではさらに、ザッパ本人の手によるオリジナルの4チャンネル・ステレオ・ミックス(これが収録されるのは1974年以来初めて)や、192kHz/24-bitおよび96kHz/24-bitのハイレゾ・ステレオ(2024年の最新リマスター)でも『Apostrophe (‘)』を聴くことができる。そして豪華なボックス・セット仕様のスーパー・デラックス・エディションには、52ページのブックレットも付属。その中にはサム・エマーソン(アルバム・ジャケットに使用され、現在ではよく知られるザッパのクローズアップ写真を手がけた人物)が撮影した未公開写真の数々に加え、英国の有名ジャーナリストであるサイモン・プレンティスと、(いつも通り)テープ倉庫管理人のトラヴァースが執筆したライナーノーツや書き下ろしエッセイも掲載される。

 本日から世界中のファンに向けて、未発表トラックである「Uncle Remus (Piano and Vocal Mix 2024)」が配信される。このヴァージョンは、オリジナルの16トラック・マスターから新たにミキシングされたもの。ジョージ・デュークの弾くピアノとタック・ピアノのみをバック・トラックから切り出しつつ、ザッパとアイケッツの面々によるヴォーカルのマスター・トラックにも光を当てている。「Uncle Remus」はザッパとデュークが共作した名曲だが、このスーパー・デラックス・エディションには、これ以外にも同曲の複数のヴァージョンが収められている。

 今回のリリースでは、スーパー・デラックス・エディション以外に二種類のアナログ盤も発売される。その一つが、2LP+7インチ・シングルのセットである。2枚のLPはいずれも高音質の180グラム重量盤で、”イエロー・スノウ・スプラッター”を施したホワイト・ヴァイナル仕様となっている。そのカッティングは、2024年にバーニー・グランドマン(バーニー・グランドマン・マスタリング)がオリジナル・アナログ・テープを基に行った。また、「Don’t Eat The Yellow Snow」の7インチ・シングルは1974年発表のオリジナル・シングルを再現したものだが、今回は暗闇で光るイエロー・スプラッター・ヴァイナル仕様に仕上げられている。そしてもう一方の1LPエディションでは、ゴールド・ナゲット・ヴァイナル仕様の高音質180グラム盤に、アルバム本編の9トラックが収録される。

 それに加えて、スーパー・デラックス・エディションはデジタル媒体でも発売され、全75トラックが96kHz/24-bitのハイレゾ音質と44.1kHz/16-bitの標準音質の両方で入手できる。また、アルバム本編の9トラックのみのドルビー・アトモス・ミックスも、主要なハイレゾ・ストリーミング・サービスで別途配信される予定だ。

 そもそも、アルバムのタイトル及びコンセプトとしての”Apostrophe”の名前は、テープ倉庫に保管されていた2インチ/16トラックの数本のマスター・テープで最初に使用されたと考えられる。これらはおそらく1971年にザッパが制作した”ビルド・リール”であり、その中には1969年の『Hot Rats』のセッションや1970年のレコード・プラントでのセッションの成果、1971年のフィルモア・イーストでのライヴ音源など、様々な場面で録音されたマルチトラック・マスターが収められていた。だが、それがすべて小文字で記号付きの『Apostrophe (‘)』として正式なアルバム・タイトルとなったのは1974年初頭のことだ。そのころになって、カリフォルニア州イングルウッドにあるボリック・スタジオで録音された直近のスタジオ音源が、1970年から1972年にかけて制作された古い音源と一緒に纏められたのである。そののち2月7日には『Apostrophe (‘)』のマスター・テープがレコード会社に提出され、続いてアーティザン・サウンド・レコーダーズでアセテート盤の製作とマスタリングが行われた。そうして、アルバムのリリース日を3月22日とすることが正式決定されたのである。

 スーパー・デラックス・エディションのディスク2〜5にはボーナスとして、1974年の初めごろと終わりごろに行われた2公演分のライヴ音源を収録。これら音源の選定理由についてトラヴァースは、”1974年に行われた一連のライヴを通してザッパが何を成し遂げたのかを示すこと”が目的だと説明している。そのうち3月のライヴ音源については、リリースに耐え得る音質で、なおかつその時期特有の演奏をすべて含んだ公演を見つけることが難しかったようだ。だがコロラド・スプリングス公演(正確な会場は判明していないが、ザッパが3月21日に行ったシヴィック・オーディトリアムでのパフォーマンスだと考えられている)のテープは、当時のレパートリーの素晴らしいパフォーマンスが多く収められていた上、それなりの音質だったという(なお、テープ・リールの切り替えに伴う音の途切れは、マザーズが3月18日にユタ州ソルト・レイク・シティで行った公演のテープで補完されている)。

 74年のツアー活動中、ザッパは多くの楽曲を作曲したり、手直ししたりしていた。実際、「Is There Anything Good Inside Of You?」(別名「Andy」)や「Florentine Pogen」はこの時期の新曲である。また、「Babbette」は滅多に演奏されることのない楽曲だったが、このコロラド公演では「Approximate」(同曲もまだ十分に新しかった)に見事な形で繋げられている。そしてもちろん、「Inca Roads」のアレンジは常に変化し続けていた。ザッパはこの時期も通常通り、すべての公演の模様を1/2インチ/4トラックのテープ・マシンで録音していた。それらのテープの音質は理想的といえるものではなかったが、これらの公演は、ほかのツアーでは披露されなかった楽曲のアレンジを含んでいるという点で歴史的に重要なのだ。

 他方、ディスク4と5に入っている11月20日のオハイオ州デイトン公演に関しては、今回のパッケージに収録すべき理由がいくつもあった。まず、全編を通して右チャンネルに断続的な音の歪みがあったものの、テープの音質が非常に良かった。また、バンドのラインナップは1974年のあいだに何度も変化し、同年の後半には6人編成となっていた。ザッパ、ジョージ・デューク(キーボード/ヴォーカル)、ナポレオン・マーフィー・ブロック(サックス/フルート/ヴォーカル)、トム・ファウラー(ベース)、チェスター・トンプソン(ドラム)、ルース・アンダーウッド(パーカッション)から成るこの中心的グループは長きに亘ってファンに愛されており、現在ではザッパ史上もっとも優れ、もっとも人気のあるバンドと広く認められている。そのメンバーのほとんどは、(常にではないにせよ)この時点でザッパと約2年間の活動を経験しており、練習を十分に重ねていたのだ。グループの中では素晴らしい化学反応が起こり、そこからは特別なサウンドが生まれた。そしてザッパは唯一無二のギタリストとして、メンバーたちを率いていたのである。11月のデイトン公演を迎えたころ、同年のツアー日程は1週間半ほどを残すばかりだった。このデイトン公演は、素晴らしい才能を持ったミュージシャンたちの現存する最後のライヴ・ドキュメントだ。彼らの腕前は、「Penguin In Bondage」、「Dinah-Moe Humm」、「Pygmy Twylyte」などの楽曲の卓越した演奏からも明らかである。このライヴはまた、ザッパのキャリアの中でもとりわけ大きな成功を収めた時代の終焉を告げたイベントでもあるのだ。

 重要なのは、『Apostrophe (‘)』が前作に続いてフランク・ザッパの名を世間に広めたということだ。ずる賢い大企業はスタジオにこもる彼の様子を常に窺っていたように思えるが、70年代中盤を迎えたころのザッパは、そうした企業の気まぐれや策略にいっそう無関心になっていたのである。『Apostrophe (‘)』のスーパー・デラックス・エディションは、ザッパ史上屈指の名作の50周年を祝う上で申し分ないパッケージである。そこには、”ザッパが監修したお食事やダンスを楽しむための音楽に乗せ、きちんと届けられる歌や物語”がふんだんに収められているのだ。

 また、7月19日には『Frank Zappa For President』のアナログ盤が、4月のレコード・ストア・デイ限定盤(赤・白・青のスプラッター・ヴァイナル仕様)に続き、史上初めて一般発売される。もともと2016年に発表されたこの編集盤は、ザッパの政治的な側面に焦点を当て、彼の政界進出への野心(彼は1991年に大統領選への出馬を模索していた)を示した一作。シンクラヴィアで制作された未発表曲や、テープ倉庫から発掘された関連トラックなど、政治性を含んだ楽曲群を纏めたアルバムである。今回リリースされる2LPは180グラムのブラック・ヴァイナル仕様で、2枚のディスクの各面のうち3つの面には音楽が記録され、4つめの面にはシルク・スクリーンによるザッパの肖像がプリントされる。このほかにも”ミステリー・ヴァイナル・エディション”のアナログ盤が、Zappa.com、uDiscover Music、Sound of Vinylのみで限定販売される予定。こちらは全世界で3,000セット限定となり、購入したファンのもとにはレッド・ヴァイナル、ホワイト・ヴァイナル、ブルー・ヴァイナル(各1,000セット限定)のいずれかの2枚組がランダムに届けられる。購入予約はこちらから。そして、民主主義への参加と選挙への投票をお忘れなく。