ついにK-Classicの幕開け!アジアが熱狂する“運命のハーモニー”が日本初上陸!韓国国内コンサート・ツアーファイナル公演レポート

2017.09.07 LIVE

クロスオーバー・ミュージックのスターを発掘する目的でスタートしたJTBC TVのオーディション番組『ファントム・シンガー』で見事グランプリを獲得し、5月19日にグループ名を冠したアルバム『Forte Di Quattro』でデビューした実力派4人組シンガー・グループ、フォルテ・ディ・クアトロ(Forte Di Quattro)。
アルバム発売を記念して5月7日からスタートした全国ツアー16公演は全公演ソールドアウトの大盛況で終了し、8月8日にソウル・世宗文化会館でアンコール公演が開催された。チケット発売後わずか30分で3000席が完売し、ソウルの女性たちを熱狂させた本公演の模様を紹介する。

20:00開演のコンサート会場前には、メンバーたちの大きなパネルがずらり。4人一緒の写真もあれば、メンバー個々のパネルもそれぞれに。早くから駆けつけたファンたちはお目当てのメンバーのパネルの横に立ち、笑顔で記念撮影。微笑ましく和やかな雰囲気が漂う。
入り口付近では有志のファンから、コンサートを盛り上げるグッズ=小さなペンライトが無料で配られていた。ファンたちはメンバーの名前が書かれたペナントやウチワなど、思いおもいのグッズを持参。ロビーではコンサート・プログラムやマグカップ、ノート、バッジ、Tシャツなどのグッズ販売も行われ、開演前から会場のあちこちで熱気が高まっていた。
観客の98%は女性。年齢層は幅広く、若い女性も多く目に付いた。30~50代が中心で、その前後の年代も満遍なくカバーされている、といったところか。

 ついにコンサートが開演。クラシックの名曲〈ツァラトゥストラかく語りき〉をアレンジしたドラマティックな音楽にのせてF.D.Q.の文字が光の中に浮かび上がる。凝ったライティングとCGがその文字を立体的に見せるなか、一段と強い光が放たれた瞬間、突如4人のメンバーの影が光の中に現れる。長身の4人が上下真っ白のスーツに身を包み、観客の前に姿を現す。ファンの歓声が物凄い。韓国女性のパワーに圧倒される。

コンサートの幕開けは『ファントム・シンガー』でのパフォーマンスでも衝撃を与えた①〈オデュッセイア〉。いきなり圧倒的な歌唱力をみせつけられる。豊かとか大きいとかの言葉では言い尽くせない、“圧のある”とでもいうのだろうか、とにかく4人の「声量」が桁外れ。声の波が押し寄せてくるようだ。1曲目から4人の歌唱力、相性抜群のハーモニーの迫力に圧倒されてしまった。また、ステージにはスクリーンがセットされ、メンバーの表情まで細かく映し出されるのはファンには嬉しい限り。

ファンへの感謝、ツアーの感想などのトークをはさんで ②〈あなたの大きな翼を広げて〉 スウェーデンの歌姫シセルも歌っていた、スウェーデンの民謡だ。1曲目とは打って変わってソフトなハーモニーがしっとりとした雰囲気を醸し出す。F.D.Q.ならではの優しいハーモニーの魅力溢れるナンバーだ。続いてアルバムには収録されていないが、『ファントム・シンガー』で歌唱し話題を呼んだ ③〈Notte Stellata〉。サン=サーンスの〈白鳥〉にイタリア語の歌詞をつけたもの。クラシックの美しいメロディが美しく響く。

ベースのSeo Young Doもトークに参加。『ファントム・シンガー』をはじめ数多くのTV番組に関わるミュージシャンで、F.D.Q.とも 結成時から共に歩んでいるバンド・マスター。しかし予想を超えてF.D.Q.のコンサートは「笑い」が絶えない。観客も大笑いで彼らのトークを楽しんでいる。メンバーそれぞれがよく喋るし、まるで漫談のように可笑しなことをお互い言い合っているのだ。仲の良さがよくわかる。
強く美しいハーモニーが溢れるパフォーマンスと、お茶目なトークのギャップがまたF.D.Q.の魅力なのだろう。

④曲目は〈永遠にあなたのもの〉。デビュー・アルバムでは韓国語で歌っていたが、ここではイタリア語で披露。続いてアルバム1曲目を飾っていた ⑤〈遠い星のように〉。哀愁漂うワルツのリズムが特徴的なオリジナル曲だ。

ここでビデオ・タイム。7月末にF.D.Q.としてパフォーマンスした、クルーズ船(Costa Victoria)での模様をファンに紹介。ステージのリハーサル風景やオフ時の素顔のメンバー、境港、東京など日本にも立ち寄った際のひとこまが紹介された。

 ここからはソロ・パフォーマンスのコーナー。黒いピッタリとしたパンツに白Tシャツというシンプルな装いでギターを片手にコ・フンジョンが登場。Queenが大好きという彼がギター弾き語りで名曲 ⑥〈ボヘミアン・ラプソディ〉を熱唱。美しいファルセットを駆使し、歌ごころ満載の歌唱、しっとりとした完全アコースティックの世界はセクシー炸裂。この瞬間が終わらないでほしい・・・と多くのファンがハートをドキュンと打ち抜かれたこと間違い無し。

次に大きな拍手に続いて登場したのはキム・ヒョンス。茶系のジャケットとパンツが良く似合う。Kim Hyo Geunにより作曲された韓国クラシカル・クロスオーバーの名曲 ⑦〈The First Love〉を披露。ステージにセットされたベンチ、街灯も歌にぴったり。持ち前のソフトで優しさ溢れるリリカルな美声がひときわ際立った。

続いて清潔感溢れるカジュアルスマートな衣裳で現れたのはTJ。インターナショナルスクール出身、得意の英語を生かしてマイケル・ブーブレの ⑧〈Home〉を披露。ジャズをジャズファン以外の聴衆へ広げたアーティストとしてマイケル・ブーブレを尊敬している、自分もそのような存在になりたいと語っていた。

ソロ・コーナーのトリを飾ったのは……。突然客席にスポットが当たり、ピンクフロイドのTシャツにワイルドなジーンズとブーツ姿のビョリが現れた。観客の間をステージへ突き進み、まさかのメタル・スタイルで ⑨〈Whale Hunting〉を文字通り熱唱。〈Whale Hunting〉は韓国の国民的歌手ソン・チャンシク(Son Chang-Sik)の1975年のヒット曲で、人気バンド 紫雨林(The JAURIM)がMBSの音楽番組『I am a singer』のためにロックバージョンにアレンジ。世代を超えた人気曲である。ビョリのパワーと迫力に観客も総立ちで大合唱。メンバーの中でも群を抜いた張りのある歌声がこんなにもハマるとは。「やるときはやる」ビョリの一面に観客騒然。

ソロ・コーナーのあとは、TJがコ・フンジョンをおぶって登場。二人ともオール・ブラックのスーツに黒のサングラス。スラリとした長身が際立つ。Coldplayのヒット曲 ⑩〈Viva La Vita~美しき生命〉を相性抜群のハーモニーでデュエット、そこにキム・ヒョンス、ビョリも加わり再び4人が舞台上に並んだ。ライヴで一番人気のオリジナル曲 ⑪〈Destino~運命〉を熱唱。ファンの掛け声、曲間の声援も最高潮に。

ここで再びビデオ・タイム。メンバー同士が怪しく指を絡めたり、コミカルな一面も。全身黒い衣装のまま再登場。 ⑫ 2CELLOS & ズッケロのカバー〈愛の教科書〉、映画『ライフ・イズ・ビューティフル』から⑬〈ライフ・イズ・ビューティフル〉を続けて披露。トークをはさみ、⑭〈言葉もなく〉⑮〈愛のファンタズマ〉これら壮大な2曲はF.D.Q.の圧巻の歌唱力と奇跡的なハーモニーの妙が発揮され、感動のパワーを生み出す。

コンサート最後の曲は ⑯〈アダージョ〉。クラシックの人気曲〈アルビノーニのアダージョ〉にイタリア語歌詞をのせ、一段とドラマティックに。この曲も『ファントム・シンガー』で歌唱し人気になったナンバーだ。

鳴り止まない拍手と声援に再びステージに呼び戻される4人。クラシカル・クロスオーバー歌手アレッサンドロ・サフィーナ(Alessandro Safina)の代表曲 ⑰〈Luna〉を熱唱。観客、ファンへの感謝の気持ちを一人ひとり話したあと、アンコール2曲目はアルバムの中でもバラードの佳曲、オリジナルの ⑱〈今日 あなたと〉。続いてR.ケリーの ⑲〈I Believe I Can Fly〉カバー、⑳〈I’impossibile Vivere〉と4曲のアンコール曲を含む全20曲、休憩無し3時間近い感動のコンサートは終了。コンサートの中で何度もファンへの感謝の気持ちを語り、最後はチョル(クンジョル)で最大の感謝と敬意を表した4人。

観客のパワーも集中力も最後まで途切れなかった。4人の歌声が持つパワーに改めて圧倒され、これ以上無い感動に包まれた贅沢な時間を共有した幸福感で会場は満たされ、F.D.Q.への拍手はいつまでも鳴り止まなかった。

美しさ、優しさ、情熱、感動……Forte Di Quattro=4人の力。この4人にしか生み出せない“奇跡のハーモニー”のストーリーは始まったばかりだ。

【2017年8月8日(火)ソウル/世宗文化会館公演 セットリスト】
1. オデュッセイア
2. あなたの大きな翼を広げて(スウェーデンの民謡)
3. Notte Stellata(サン=サーンス:白鳥にイタリア語の歌詞をつけたオリジナル)
4. 永遠にあなたのもの
5. 遠い星のように
6. ボヘミアン・ラプソディ(コ・フンジョンのSolo)
7. The First Love(キム・ヒョンスのSolo)
8. Home(TJのSolo)
9. Whale Hunting (イ・ピョリのSolo)
10. Viva La Vida~美しき生命(TJとコ・フンジョンのデュオからの全メンバー)
11. Destino~運命
12. 愛の教科書
13. ライフ・イズ・ビューティフル
14. 言葉もなく
15. 愛のファンタズマ
16. アダージョ(Adagio)
【アンコール】
17. ルーナ(Luna)(Alessandro Safinaのカバー)
18. 今日 あなたと(Today With You)
19. I Believe I Can Fly
20. L’impossibile Vivere (Renato Zeroのカバー)