【熊澤歩哉卒業ファンイベント ~On cloud nine~】オフィシャルライブレポート
12月28日、『熊澤歩哉卒業ファンイベント~On cloud nine~』がSHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて開催された。熊澤のメンバーカラーであるオレンジ色に染まったサイリウムが会場を埋め尽くし、彼の門出に朗らかなエールを送った。
「We are ENJIN」を背に登場したメンバーは、いつものように「円神です!」と元気よく挨拶をすると、いつもと違う空気を放つ会場に端から端まで視線を配る。熊澤が「みんなで最後に楽しい思い出を作りたくて、このイベントを企画させていただきました。一緒に最高の思い出を作りましょう」と声をかけ、本編へと入っていった。
イベントは熊澤の提出した写真を見ながら、思い出話に花を咲かせるトークパートからスタート。9人で椅子に腰をかけ、瀧澤翼が「くまちゃん、今日を迎えた率直な感想と言いますか…」と切り出すと、「とても座り心地のいい椅子です。ライトも温かいし」とボケる熊澤。その表情は朗らかで温かくもありながら、この日がラストだという寂しさを押しこめているようにも見える。そのボケに笑っているメンバーも、最初からしんみりさせる気はない熊澤の優しさを改めて噛みしめているようだった。
スクリーンに次々と映されていく、熊澤のスマートフォンのフォルダから選ばれた写真たち。一緒にご飯を食べている様子ばかりのA.rik、なぜだか無表情しかない中林登生、二人になると高貴なオーラを放つ山田恭など、それぞれの関係性が日常の様子から伝わってくる。
なかでも歓声があがったのは、草地稜之とのツーショットだ。ふたりが熊澤の誕生日にクルージングへ行った写真が映し出されると、「彼氏面やめてくれる?」と嫉妬をあらわにする中林。山田も「お願いだから草地君、船酔いしてほしかった」と、草地のかっこよすぎるエスコートを前にしてやられた感が満載だ。当の草地はというと「めちゃくちゃ本当に感謝することが多かったから、どうせなら初めてだろうなと思うものをプレゼントしたくて」と語り、日ごろから助け合ってきた仲の良さを覗かせた。
全25枚の写真を見終えると、ライブパートへ向けて衣装チェンジすべく、熊澤、中林、草地、中本がステージから去る。残された宮里ソル、山田、中谷日向、A.rik、瀧澤は「くまちゃんのいいところ」をテーマに山手線ゲームを開始した。熊澤の魅力が存分に語られるのかと思いきや、一筋縄にはいかないのが円神の面白いところ。A.rikに順番が回ってくる度、爪や毛先、耳たぶといった独特の褒めポイントに審議が入っていた。
衣装チェンジを終えた熊澤は「Far away」のスタイリングで登場。予期せぬ装いに、会場からはキラキラとした歓声があがる。続いて現れたメンバーも、なんと熊澤の歴代衣装を着用。個性に合わせて熊澤がチョイスしたこともあり、元からそのメンバーに組まれたコーディネートかのように、各々がしっくりと馴染んでいた。
そして、いよいよライブパートへ突入していく。瀧澤が「煽ってあげて」と促すと、熊澤は「熊澤歩哉! イチバンカワイイ!」でコール&レスポンスを展開。「今日も元気にいっくまー」と締めくくり、会場を盛大に温める。「今日はくまの大好きな曲たちを詰めこみました」と告げ、「Perfect Circle」へ繋いでいった。普段以上に強く響く“僕ら出会って 夢を描いて ひとりじゃない 手を重ねれば”というリリックは、これから別の道を歩んでも独りにさせないというメンバーの決意が宿っているよう。中谷は“その笑顔が”で熊澤を指し、山田は曲間で「これからも愛しているよ」と叫ぶ。ステージ上に満ちるエネルギーはとてもポジティブで、曲終わりに前へ差し出された指先も力強かった。
MU3Eの特大コールが響き渡る「We are ENJIN」、熊澤の柔らかな歌いだしが印象的な「MERRY GO ROUND」とブライトなナンバーが続く。舞台上にふたりっきりになった熊澤と草地は、和気あいあいと「OBENTO~お弁当の歌~」を披露。デビューステージ『nonagon~始まりの音~』から、ことあるごとにパフォーマンスしてきたナンバーなこともあり、会場の一体感も抜群だ。曲中でふたりが向き合いシーンでは、草地が熊澤に手紙を渡す一幕も。思わぬサプライズを受けた熊澤は「いつも手紙を渡す側だったので、もらったらこんなに嬉しいんだな」と照れと感動の入り混じった表情で語った。
ついに、ライブも終盤戦。瀧澤の「これからも永遠(とわ)に歩いていきましょう」という言葉を受け、導かれたのは「We Go」。“我が道を行こう 遠慮は要らない”という歌詞は、夢のためにグループを離れることにした熊澤の選択を後押ししているよう。もっと高く飛ぶために、驚くような未来を奏でるために、それぞれの道を歩んでいくのだとパフォーマンスは謳う。
「さがしもの」のラストでは“この場所で また会おう”の言葉と共に、熊澤がひとりだけ前に出て8人のほうを振り返る場面も。向かいあったことで、いろいろな想いがこみ上げてきたのか、それまでは気丈に振りまわっていた9人が、次々と崩れ落ちていった。抱き合いながら、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、手を大きく羽ばたかせる振りが印象的な「Far away」へ。真っすぐに飛んでくる“どこかで 繋がっているよね? 信じていいよね?”のフレーズは、これから先の未来への祈りを秘めて紡がれる。歌詞に呼応させ自分の胸をトントンと叩く瀧澤の拳は、いろいろな意味を内包しているようで、とても力強かった。
最後のMCに突入し、「もう無理です」と泣き出してしまう中林。その様子に、自然とMU3E(円神のファン呼称)も涙腺を刺激される。そして、熊澤から最期の言葉が届けられた。涙ながらに語られていくのは、メンバー、nonaff(円神のスタッフ)、MU3Eへの感謝。「円神に出会わせてくれて、選んでくれてありがとうございます」と告げると、オーディエンスから聞こえる嗚咽も一段と強くなった。
スピーチを終えた熊澤は、「最後に円陣を組みたいです」と提案。ステージ上で9人の輪を作り「エンジン全開!」と気合を入れ、ラストソングの「ENJIN」へ。宮里は常に熊澤のほうへ視線を配り、一緒にステージに立っている今を瞳に焼き付けているよう。グループが始まった曲で新たなスタートへの希望を歌い、卒業イベントを結びあげたのだった。
このまま終了かと思われたが、熊澤とメンバーの思い出写真や映像が流れるサプライズ。動画の最後には両親からの手紙も添えられ、さらなる感動が会場を覆う。眼帯をつけていた中本は、なかなか涙を拭うことができず「涙で眼帯のなかがビショビショ」とこぼしていた。VTRが終わり、円神のメンバーカラーで作られた花束とMU3Eからのメッセージが入った横断幕が渡された熊澤は、茶目っ気たっぷりに「寒いから布団にするね」とコメント。みんなで記念撮影を、晴れやかな卒業イベントとなった。
メンバーがステージから去ると、今度は熊澤からの逆サプライズ。熊澤が制作した動画が流され、9人も再び舞台へ戻ってきた。映し出される映像と語り掛けられる言葉に、感動したり笑ったり忙しい様子のメンバー。ラストは“今日でまたサヨナラだけど どこかで繋がっているよね? 信じていいよね?”と歌詞を引用し、9人の関係がまだ終わらないことを示したのだった。
たしかに、9人グループとしての円神は終了になってしまうかもしれない。しかしながら、彼らは「サヨナラをしてもどこかで繋がっている」「我が道を行こう遠慮はいらない」「ともにした時間が揺るがない強さになる」と、これまでに力強く歌ってきたグループだ。そんな9人が本質的にバラバラになってしまう未来は、きっと訪れないだろう。これからもずっと、メンバーやnonaff、そしてMU3Eのなかでノナゴニズムは生き続ける。
【セットリスト】
M1. Perfect Circle
M2. We are ENJIN
M3. MERRY GO ROUND
M4. OBENTO 〜お弁当の歌〜
M5. We Go
M6. さがしもの
M7. Far away
M8. ENJIN
【セットリストプレイリスト】
https://youtube.com/playlist?list=PLvTeHk50_eCHTGMy-Z4hA6W3AsffGcud&feature=shared