BIOGRAPHY

Down ‘N’ Outz / ダウン・アンド・アウツ


デフ・レパードのフロントマン、ジョー・エリオットによるスペシャル・プロジェクトにして純度100%のロックンロール・バンド。

ダウン・アンド・アウツ結成のきっかけは、ジョーが敬愛して止まないモット・ザ・フープルが結成40周年を記念して2009年10月1日~3日、5日~6日の5日間限定でロンドンのハマースミス・アポロでリユニオン・ライヴを行なったことに端を発している。そのライヴにゲストとして招かれたジョーは、クワイアボーイズにも声がかけられていたことを知り、彼らのデビュー時から注目していたこともあって、そのメンバーとコンサートのフロント・アクトとしてプレイしたら面白いのではと考えた。クワイアボーイズのポール・ガーリン(g)、ガイ・グリフィン(g)、キース・ウェア(key)、フィル・マーティン(ds)もそれに賛同し、ロウ・グローリーのロニー・ガリティをベースに迎えて体制を整え、モット・ザ・フープルだけでなく、イアン・ハンターのソロ、モット、ブリティッシュ・ライオンズといったモット・ファミリーのスピンオフ的な曲をカヴァーするトリビュート・バンドを結成。モット・ザ・フープルの前座としてハマースミスのステージに立ち、10曲をプレイした。その内容も本家であるモット・ザ・フープルがパフォーマンスをする前なので、彼らがやるであろうヒット曲や代表曲をあえて外すという心遣いとジョーの筋金入りのマニアぶりが伝わる選曲だった。

このように当初はモット・ザ・フープルのリユニオンのために結成されたバンドだったが、好評を得たうえにメンバーも手応えを感じたことでスタジオ・アルバムの制作まで話が発展。かつてジョーは、〈ミック・ロンソン・トリビュート・コンサート〉への出演をきっかけに、同じくデフ・レパードのフィル・コリン(g)、元スパイダース・フロム・マーズのトレバー・ボルダー(b)、ウッディ・ウッドマンゼイ(ds)とともにロンソンとデヴィッド・ボウイをトリビュートするバンドのサイバーノウツを結成してアルバムを発表、ツアーをしたこともあったが、今回はモット・ザ・フープルの魅力をあらためて世間に知らしめるバンドとして正式に形にしたのである。

バンドはジョーと近年のデフ・レパードの作品には欠かせない存在であるロナン・マクヒューをプロデューサーに立て、ジョーがダブリンに保有するスタジオのジョーズ・ガレージに入ってレコーディングを行なう。そこではモット・ザ・フープルのコンサートで演奏した10曲に加えて、ジョーが書き下ろした新曲もレコーディングされた。そうして完成した『マイ・リジェネーション』はまず、モット・ファミリーの楽曲10曲を収録したCDが10年6月に発行された「Classic Rock Magazine Issue 147」のオマケとして発表され、7月には全13曲の公式作品としてリリースされた。

『マイ・リジェネーション』発表後はイギリスやスコットランドでライヴを行ない、10年の〈ハイ・ヴォルテージ・フェスティヴァル〉や11年に行なわれたポール・ロジャースのUKツアーにも同行。自分たちのブランド・ビールも発売した。11年にはウェブサイト限定でモット・ザ・フープルのオープニング・アクト出演時の模様を纏めた映像作品『Live At The Hammersmith Odeon』を販売(本来はアポロである会場名を、あえてモット・ザ・フープルが活躍していた時代の呼び名であるオデオンとしているのもジョーの拘り)。この作品は日本で16年に『ライヴ・アット・ザ・ハマースミス・オデオン 2009年10月6日』というDVD+CDのコンボとしてリリースされている。

このような活動からバンドとしての自信を深めた彼らはセカンド・アルバムの制作に着手する。ベースのガリティは脱退したが、元サンダーのマーク“スネイク”ラックハーストをゲストに加えてレコーディングは進み、ほぼ前作同様のプロダクションによって完成した2作目『ザ・ファーザー・アドヴェンチャーズ・オブ~』は14年4月にリリースされた。前作ではイアン・ハンターのソロやモット、ブリティッシュ・ライオンズの曲を取り上げていたが、ここではツアーで披露していたモット・ザ・フープルの曲を披露。「Rock And Roll Queen」と「One Of The Boys」はそれぞれ5月、7月にシングル・カットされてプロモーション・ヴィデオもつくられ、同年12月には「Sea Diver」のヴィデオ公開とiTunesでの配信、UKツアーも敢行された。そのうち5日~7日にかけてウェールズのパーク・ディーン・ホリデイ・パークで行なわれた〈プラネット・ロックストック〉には中日に出演して多くの歓声を浴びた。また15年4月18日のレコード・ストア・デイでは、エルトン・ジョンのカヴァーとなる「埋葬~血まみれの恋はおしまい(Funeral for Friend/Love Lies Bleeding)」を含む4曲入り12インチ「Down ‘N’ Outz EP」も限定発売されている。

そして16年9月、日本先行で3作目となる『ザ・ファーザー・ライヴ・アドヴェンチャーズ・オブ~ライブ・イン・シェフィールド』を発表。14年12月にジョーの地元、シェフィールドのザ・コーポレーションというクラブで行なわれたコンサートの模様を収めたこのDVD+2CDのコンボは、17年12月にヨーロッパでも発売される同時に、人気のあまりすでに入手困難となっていた『マイ・リジェネーション』、『ザ・ファーザー・アドヴェンチャーズ・オブ~』もリイシューされた。なお、この作品から元ヴィクセンのシェア・ロスがベースを務めるようになっている。
その後、18年8月にオーストラリアのロック・ウェブサイトであるザ・ロックピットにおけるガイ・グリフィンのインタヴューで3枚目のスタジオ・アルバムが完成間近であることが伝わってきたが、ついに、この19年10月に全12曲中11曲がジョーのペンによるバンド・オリジナルの楽曲が収録された新作『ディス・イズ・ハウ・ウィ・ロール』がリリースされことが公式にアナウンスされた。