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ムーティに替わって音楽総監督に就任したバレンボイムのスカラ座開幕公演
バレンボイムがスカラ座の音楽監督に就任して初の開幕公演ということで、上演に先立ち全員が起立の上イタリア国歌が奏されるという、開幕前から祝祭的な気分が盛り上がった「ドン・ジョヴァンニ」。作品を完全に掌握したバレンボイムのタクトで、全く弛緩することのない引き締まった演奏が展開されています。注目の歌手を総動員したこの上演は、序曲が始まるやいなや聴衆の心を鷲掴みにしました。タイトル・ロールのマッティはスタイリッシュな外観はそのままに、声に深みを加えた理想的な悪役を演じ、ターフェルは相変わらずの芸達者。エルヴィラを歌うフリットリのしっとりした声と表現力もいつもの通りの素晴らしさ。そして、何より多くの人が注目しているネトレプコのドンナ・アンナは貫録たっぷりの歌声!冒頭の絡みのシーンでも女の飽くなき業を感じさせるのはさすがです。キュートなプロハスカのツェルリーナも見どころの一つ。カーセンの演出は極めてシンプルなもので、装置も簡素であり、物語の理解を邪魔することは全くありません。エロティックなシーンもあり、この物語が愛欲と復讐、死をテーマにしていることを改めて認識させてくれることでしょう。
内容
モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 K.527(全曲)
ペーター・マッティ(ドン・ジョヴァンニ)、アンナ・ネトレプコ(ドンナ・アンナ)、 ブリン・ターフェル(レポレッロ)
バルバラ・フリットリ(ドンナ・エルヴィラ)、ジュゼッペ・フィリアノーティ(ドン・オッターヴィオ)
アンナ・プロハスカ(ツェルリーナ)、 シュテファン・コツァン(マゼット)、 ヨン・クワンチュル(騎士長)
ダニエル・バレンボイム:指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
演出&照明:ロバート・カーセン
収録:2011年12月、ミラノ・スカラ座でのライヴ