BIOGRAPHY

Cream / クリーム

メンバー
エリック・クラプトン (ギター、ボーカル)
ジャック・ブルース (ベース、ボーカル)
ジンジャー・ベイカー (ドラムス)


元ヤードバーズ~ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズのギタリストだったエリック・クラプトンと元アレクシス・コーナーズ・ブルース・インコーポレイテッド~グラハム・ボンド・オーガニゼーションのドラマーだったジンジャー・ベイカー、ベイカーとはコーナーとボンドのバンドでともに過ごし、ブルースブレイカーズやマンフレッド・マンなどで活動していたベーシストのジャック・ブルースによるスーパーグループの先駆けとして1966年7月に結成。すでにキャリアのあった3人は“cream of the crop(選りすぐりのもの)”と認められていたことから“クリーム”と名づけられ、メンバーそれぞれを知るロバート・スティグウッドがマネージメントを担当した。

同年7月30日にマンチェスターのツイステッド・ホイールで初ステージを踏んだバンドは、翌31日にウィンザー競馬場で開催された〈第6回ナショナル・ジャズ・アンド・ブルース・フェスティヴァル〉に出演して正式なデビューを飾る。10月7日にはリアクション・レーベルからデビュー・シングルの「Wrapping Paper / Cat’s Squirrel」を発表し、12月9日には『フレッシュ・クリーム』をリリース(全英6位/全米39位)した。サイケデリックな時代背景を取り入れたヘヴィなブルース・ロックを3人による爆音と激しいインプロヴィゼーションで展開するさまは、それまでのロックの概念を覆すほどの革命と言われ、いまではハード・ロック/ヘヴィ・メタルの源流とも評されている。また、ブルースの友人で詩人のピート・ブラウンが書いた歌詞の世界観はクリームの音楽性に大きく貢献したと言われている。

翌67年11月10日にフェリックス・パパラルディをプロデューサーに迎えた2作目の『カラフル・クリーム』を発表。アルバムは全英5位/全米4位を記録したほかシングル・カットされた「ストレンジ・ブルー」、「サンシャイン・ラヴ」もヒット。68年7月にはスタジオ・テイクとライヴ・テイクを収めた2枚組の大作『クリームの素晴しき世界』をアメリカ先行でリリースし、イギリスで3位、アメリカでは初の1位に送り込むなど絶頂期を迎えたが、その裏では以前より燻っていたベイカーとブルースの確執が決定的なものとなっており、7月10日に11月末までの〈フェアウェル・ツアー〉を以て解散することが発表された。

その〈フェアウェル・ツアー〉の模様は2020年2月に4枚組ボックス・セット『グッバイ・ツアー – ライヴ1968』としてリリースされる。また、11月26日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでイエスとテイストをオープニング・アクトに迎えて行なわれたラスト・コンサートの模様はBBCテレビによって撮影され、69年1月5日に放送された。現在では映像作品『クリーム・フェアウェル・コンサート~1968 ロイヤル・アルバート・ホール』として楽しむことができる。

解散後の69年2月5日には、前年の10月にレコーディングされた3曲と同月9日にロサンゼルスのザ・フォーラムで収録されたライヴ音源を収めた『グッバイ・クリーム』が発売され、全英1位/全米2位を記録。そこからはジョージ・ハリスンが変名で参加した「バッジ」もシングル・ヒットを記録し、有終の美を飾った。その後もバンドへの評価は揺るぎなく、また個々のメンバーがそれぞれ活躍したこともあって、70年に『ライヴ・クリーム』、72年には続編となる『ライヴ・クリームVol.2』がリリースされなど人気振りをあらためて示した。

93年にはロックの殿堂入りを果たし、1月12日にロサンゼルスのセンチュリー・プラザ・ホテルで行なわれた式典では3人のメンバーが揃って「サンシャイン・ラヴ」、「クロスロード」、「悪い星の下に」を演奏して喝采を浴びた。03年にはBBC音源をコンパイルした『BBCライヴ』も発表されている。そして05年、解散以来37年ぶりとなる正式な再結成が決まり、5月2日、3日、5日、6日にロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールで、10月24日~26日にはニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデンでコンサートを開いた。そのうちロイヤル・アルバート・ホール公演のステージは『リユニオン・ライヴ 05』として2枚組アルバムと映像作品として纏められている。

以降、3人がまた顔を揃えることが期待されつつも、14年10月25日にブルースが死去。19年10月6日にはベイカーもこの世を去ったことからクリームは永遠の伝説となってしまった。

わずか2年半という活動期間ではあったが、特にライヴにおけるそれぞれの高い演奏技術に裏打ちされた火花散るインタープレイの応酬は凄まじく、ロック史上における最高のパワー・トリオとして、今もなお後続のアーティストに多大なる影響を与え続けている。