最新アルバムを引っ提げた1年半ぶりの来日公演『FOUND HEAVEN ON TOUR』を開催!コナンらしいパフォーマンスやステージングでファンを熱狂させる!

2024.09.17 TOPICS

Z世代の“ポップ・プリンス”ことコナン・グレイが、9月9日(月)に東京ガーデンシアターにて単独来日公演を開催。昨年2月の初単独来日公演以来、およそ1年半ぶりとなった来日公演のライブレポートが到着した。

併せて、この公演のセットリストがプレイリストになって公開されている。
https://umj.lnk.to/CG_THESETLIST

(以下、ライブレポート)

Z世代のポッププリンスことコナン・グレイの約1年半ぶりの来日公演が、2024年9月9日(月)、東京ガーデンシアターで開催された。4月にリリースされた最新アルバム『ファウンド・ヘヴン(Found Heaven)』のモチーフでもある星のマークを身につけたり、星を鏤めたメイクをしたり、多くのファンが思い思いの形で熱愛ぶりをアピール。中には大きな星のヘッドギアを被った強者まで。開演前から会場にはハロウィンのようなお祭りムードに包まれていた。

19時を少し回った頃、客電が落ちて幕が開くと、ステージ後方の高くなったプラットフォームの中央にコナンが出現。両手を挙げたポージングが如何にも彼らしい。観客席から大きな拍手と歓声が沸き起こる。オープニング曲は、80年代風シンセが大胆に導入されたポップチューン「フェインテッド・ラヴ(Fainted Love)」。5人編成のバックバンドが、ダイナミックな演奏を軽快に繰り出していく。メンバー全員が女性というのも、彼の拘りだろう。前回の来日時よりも、随分とサウンドが骨太になっている。“ファウンド・ヘヴン・オン・ツアー”と題された今回のワールドツアーは、6月のオーストラリアを皮切りに11月のイギリス公演まで続く。その大半が大規模なアリーナ会場で開催され、9月末には由緒あるニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンのステージに初めて自身のツアーで立つことになる。本人にとっても大きな節目となるはずだ。

“東京! ファウンド・ヘヴン・オン・ツアーにようこそ!”という” という威勢のいい挨拶と共に、2曲目の「ネヴァーエンディング・ソング(Never Ending Song)」がスタート。痛快なドラミングに乗せて、シンセが高らかに鳴り響く。黒地にシルバーをあしらったセパレートのライダース上下を身に着けた、へそ出しルックのコナンは、歌いながら音楽に併せて合わせて自由に体を泳がせ、ダンスをしたり、ジャストなタイミングでポーズを付ける。ステージ狭しと前後、左右に練り歩く姿は、クイーンのフレディ・マーキュリーやデヴィッド・ボウイを彷彿とさせるものがある。かと思えば、直後の「ウィッシュ・ユー・ワー・ソーバー(Wish You Were Sober)」では、明るい曲調のせいか、テイラー・スウィフトのようなアクションにも見えてくる。マッチョな男性観や虚像にとらわれることなく、常に自分らしい立ち振る舞いやステージングに徹している。

4曲目の「アイ・オブ・ザ・ナイト(Eye Of The Night)」からは、ステージ上部の白い垂れ幕が除かれ、大きな星型のライティングが出現。ボン・ジョヴィ風のサウンドと相まって、80年代のスタジアムロックのような煌びやかなムードに一変した。続く「キリング・ミー(Killing Me)」も、大胆なシンセを使ったレトロなロックムードが濃厚だ。セットリストの前半は、主に4月に発表された最新アルバム『ファウンド・ヘヴン』からの楽曲で構成され、Y2Kどころか80年代にまで遡ったサウンドと、ロックスターのようなステージングで圧倒した。

中盤からは、少しスローダウンして座って歌った「ジ・エグジット(The Exit)」、ひと際感情を込めて伸びやかなボーカルを披露した「ザ・カット・ザット・オールウェイズ・ブリーズ(The Cut That Always Bleeds)」など、すぐ側で歌いかけているかのような親密度の高いスタイルで聴き入らせた。アコースティックギターを弾きながら「ザ・ストーリー(The Story)」を歌った際には、“子どもの頃は死ぬのが怖くなかったけれど、成長して友達もできて、恋愛も体験し、歌を作り、自身を受け入れてくれるみんなと出会って、今は死ぬのが怖い”と胸の内を明かし、ファンは歓喜して悶絶。誕生日のファンのために、みんなでバースデーソングを歌う一幕まで飛び出し、終始、和気藹々と進行した。

そして最新アルバムのタイトル曲「ファウンド・ヘヴン(Found Heaven)」からは、いよいよ佳境へと突入する。高らかにギターが鳴り響く中、陽の出を思わせるドラマティックな黄色いライティングが施され、文字通りヘヴン(天国)を思わせる。ひと際大きな歓声で迎えられた「ボーイズ&ガールズ(Boys & Girls)」や「ロンリー・ダンサーズ(Lonely Dancers)」も天国ムードの中、華やかなシンセサウンドとエレクトロニックなビートがアッパーに跳ねまくる。コナンもクルクル回転したり、ピョンピョン飛び跳ねたりと大立ち回り。一方の厳かでドラマティックな「ウィナー(Winner)」からは、「誰もが勝者だ」というメッセージが確かに伝わってきた。アコースティックギターを抱えて、しっとり歌われた代表曲「ヘザー(Heather)」や、更には本編ラストの「メモリーズ(Memories)」になると、これが最後とばかりに大合唱が巻き起こり、中には泣き叫んでいるファンも。とはいえ、この後もハイライトはまだまだ終わらない。

アンコールはコスチュームを変えて再登場。上半身に白のタンクトップ、その上にキラキラのケープを羽織り、頭上にはミラーボールが出現した。ダンスクラブに迷い込んだかのようなシチュエーションの下、「ブルジョワジーゼス(Bourgeoisieses)」を高らかに熱唱。続く「マニアック(Maniac)」では、カラフルな虹色ビームが飛び交い、ブロードウェイのミュージカルを思わせる華やかな演出だ。このポップな見せ方は、間違いなくこの日の一二を争うハイライトな瞬間だったと思われる。観客のシンガロングも最強だったが、終わった瞬間の割れんばかりの拍手と歓声が、その興奮を物語っていた。

ラストの「アリー・ローズ(Alley Rose)」では多彩な声色を巧みに操り、ワイルドなギター演奏でどんどん高みへと飛翔。その高揚感をカラフルな紙吹雪が最大限に盛り上げる見事な大団円だった。最後にコナンが”みんな大好き。おやすみ、またね、またね…”と日本語交りで語り、ステージを去る時の友人との別れを惜しむかのような表情が印象的だった。今や世界中をツアーで駆け巡り、ファッション誌の表紙を飾り、メットガラなどにも参席し、すっかりセレブの仲間入りを果たしたコナン。だが、その中身は、YouTuberとして発信していた学生時代から、少しも変わっていない。他人と繋がりたいという気持ちが失われていないのを発見した嬉しいライブだった。彼を求めるファンの熱狂度には恐れ入るが、同時に彼がファンを求める熱量も圧倒的だ。コナン・グレイというアーティストの原点を改めて確認させられる夜だった。
(村上ひさし)
 
 

Photo by Dillon Matthew
 

Photo by Dillon Matthew