ドイツ・グラモフォン創立120周年 Special Gala Concert
(C) Ryota Mori
2018年12月5日(水) 東京・サントリーホール
円盤式蓄音機(現在のレコードの原型)を発明し、特許を取得したドイツ出身のアメリカ人エミール・ベルリナーが1898年に創立した世界最古のクラシック・レーベル=ドイツ・グラモフォン。
創立120周年を迎える今年、世界各国で記念コンサートを開催している同レーベルが、日本でもガラ・コンサートが東京・サントリーホールで開催されました。
チケットは一般発売を開始するやいなや即完売となるなど、音楽愛好家の耳目を集めた本コンサート。
約2000人の観衆が見守る中、桐朋学園の創設者のひとりであり、偉大な教育者であった故齋藤秀雄教授の没後10年にあたる1984年に、彼の弟子である小澤征爾の発案により結成されたサイトウ・キネン・オーケストラによる全5曲、約110分(休憩時間を除く)のコンサートは、前半にサイトウ・キネン・オーケストラを過去3度に渡りゲストコンダクターとして指揮し、国内外で高い人気を誇るベネズエラ出身の指揮者ディエゴ・マテウスが、ロシアの作曲家=チャイコフスキーの楽曲の中でも人気の高い「歌劇《エフゲニー・オネーギン》 からのポロネーズ」と「交響曲 第5番」を指揮。
後半からは14歳でデビューを果たして以来、ドイツ・グラモフォン専属アーティストにして、クラシック界を代表するヴァイオリニストとして活躍するアンネ=ゾフィー・ムターが登場。
音楽の父と呼ばれるJ.S. バッハの名曲「ヴァイオリン協奏曲 第2番」を弾き振り(演奏者が指揮者とソリストを兼ねる演奏形態)で演奏し、その後再度登場したディエゴ・マテウスと、ベートーヴェンの「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス 第1番」を演奏し世界最高峰のパフォーマンスを披露しました。
そしてクライマックスは“サイトウ・キネン・オーケストラとアンネ=ゾフィー・ムターの初共演を指揮するのを楽しみにしている“と語っていた小澤征爾が約2年振りにサントリーホールに登場。
“楽壇の帝王“と称された偉大な指揮者=ヘルベルト・フォン・カラヤンに師事した小澤征爾と、ヴァイオリニストとしての才能を見出されたアンネ=ゾフィー・ムターという所縁の深い2人の夢の共演が実現。
ヴァイオリンの独奏とオーケストラによる協奏的な楽曲の中でも、世界中のクラシック・ファンの間でとりわけ人気が高く、また実写映画化やアニメ化で話題を呼んだ人気漫画『四月は君の嘘』でも取り上げられたことで、幅広い層に親しまれているサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」を披露し喝采を浴びました。
終演後、この夢のような共演を振り返り、アンネ=ゾフィー・ムターが「100回共演したいわ。」とコメントし、それに応えるように小澤征爾氏も「とても素晴らしかった。楽しかったよ。」と語りました。
日本を代表するオーケストラとして世界中で評価されているサイトウ・キネン・オーケストラにとっても約17年11ヶ月振りとなる東京でのコンサートとなった本公演は、まさに“奇跡の一夜”と呼ぶにふさわしい内容となりました。
なお、本公演の模様は来年1月から順次、ドイツ・グラモフォンより全世界でリリースされる予定です。