クラシック百貨店 解説
クラシック百貨店 解説
〜管弦楽曲編〜
1位.ストラヴィンスキー:バレエ《春の祭典》
「初演はクラシック史上最大のスキャンダル!」
20世紀最高の作曲家と呼ばれるストラヴィンスキーの代表作《春の祭典》は、1913年の初演に於いて賛否両論。会場内が大騒ぎになるという前代未聞の事態を引き起こした問題作だった。しかし斬新なリズムとメロディは今や名曲中の名曲に数えられ、人類の存在を知的生命体に届ける使命を帯びて宇宙を飛行する宇宙探査機ボイジャーの「ゴールデンレコード」に、J.S.バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの作品とともに搭載される名作だ。
2位.ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲《展覧会の絵》
「ピアノ曲から管弦楽曲への華麗なる転身」
友人の画家ハルトマンの死を悼んだムソルグスキーによる組曲《展覧会の絵》は、絵にちなんだ10曲の小品と前奏、そして間奏の役割の〈プロムナード〉からなるピアノ作品だ。この曲の管弦楽編曲をラヴェルに依頼したのが、ロシア生まれの指揮者クーセヴィツキーだった。“管弦楽の魔術師”と謳われるラヴェルの編曲は素晴らしく、世界中のオーケストラが演奏するに至る。現在では原曲の「ピアノ組曲」共々コンサートで頻繁に演奏される人気曲だ。
3位.J.S.バッハ:管弦楽組曲全曲 BWV1066〜1069
「バッハに親しむ第1歩は《G線上のアリア》」
「バッハは小川(ドイツ語でバッハは小川の意味)ではなく大海だ」と語ったのはベートーヴェン。その言葉を裏付ける作品が、《ブランデンブルク協奏曲》とならぶ大規模な管弦楽作品《管弦楽組曲》だ。中でも名高い第3番の第2楽章〈エア〉は、《G線上のアリア》という愛称によって知られる名曲だ。“バッハは難しそう”とお考えの方には、ぜひこの《管弦楽組曲》を聴いてほしい。厳しいバッハの顔が優しく見えること請け合い。
4位.リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》作品35
「アラビアン・ナイトの妖艶な世界に浸る」
有名な『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』の物語を音楽で描き出したこの作品は、リムスキー=コルサコフの代表作。作品は、威厳に満ちたシャリアール王と、可憐なシェエラザードの2つの主題を軸に〈海とシンドバットの船〉〈カランダール王子の物語〉〈若き王子と王女〉〈バグダットの祭、海、青銅の騎士のある岩にての難破〜終曲〉という4つの物語が展開される。特にシェエラザードの主題はヴァイオリニストの腕の見せ所だ。
5位.スメタナ:連作交響詩《わが祖国》
「チェコ独立の象徴は、今も音楽室の人気曲」
1879年の作曲当時、オーストリアに統治されていた祖国チェコの独立を望む“象徴”として誕生した作品が、6曲からなる連作交響詩《わが祖国》だ。中でも名高い第2曲《モルダウ(今はチェコ語の“ヴルタヴァ”と呼ばれる)》は、学校の音楽の授業で必ず紹介される名曲だ。スメタナの命日に開催される音楽祭「プラハの春」の初日には、《わが祖国》が必ず演奏されることからも、チェコの人々がいかにこの曲を愛しているのかが伝わってくる。
6位.チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》作品71
「美しいメロディが散りばめられたファンタジー」
《白鳥の湖》《眠れる森の美女》と並ぶチャイコフスキーの「3大バレエ」の一つ《くるみ割り人形》は、E.T.A.ホフマンの童話『くるみ割り人形とネズミの王様』を原作としたファンタジー作品だ。〈花のワルツ〉や〈金平糖の精の踊り〉など全編に散りばめられた美しい音楽は、稀代のメロディメーカー、チャイコフスキーならでは。近年では2018年のディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』が大きな話題となったことも記憶に新しい。
7位.モーツァルト:セレナード 第13番 ト長調 K.525《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》
「最も有名なモーツァルト作品は父の思い出か」
〈トルコ行進曲〉と共に最も親しまれているモーツァルト作品がこの曲だろう。直訳すると「小さな夜の音楽(小夜曲)」、つまり小さなセレナーデといった意味のこの作品をモーツァルトが作曲した理由が未だに不明というのも興味深い。作曲当時、オペラ《ドン・ジョヴァンニ》を手掛けていた中で生み出されたこの美しいメロディは、2ヵ月ほど前になくなった父への思いにも関係があるのだろうか。冒頭のメロディは一度聴いたら耳について離れない。
8位.ホルスト:組曲《惑星》 作品32
「占星術から生み出された宇宙の神秘がここに」
太陽系に属する地球以外の「惑星」を音楽によって表現したこの作品について作曲者のホルストは「着想のきっかけは占星術です。神話や表題とは全く関係ない音楽です」と語っている。それにしても具体的な惑星それぞれに音楽をつけた発想力と魅力的な音楽には敬服する。当時まだ発見されていなかった「冥王星」は、「惑星」に認定された後に除外され、ホルストの《惑星》は今も完全無欠。〈木星〉はポップスにも流用される人気曲だ。
9位.ラヴェル:ボレロ
「シンプル・イズ・ビューティフルの極み」
ラヴェル作品の中で最も有名な曲《ボレロ》が完成したのは1928年。まさに20世紀を代表する名曲だ。その特徴は、スネアドラムが刻む169回に及ぶ均一なリズムに載せたたった2つのメロディが、演奏する楽器を加えながら巨大なクレッシェンドを描き出すという極めてわかりやすい作品だ。そのシンプルさが故に人気が高く、コンサートで演奏される機会が多い他、伝説のダンサー、ジョルジュ・ドンが踊る映画『愛と悲しみのボレロ』も有名。
10位.ドビュッシー: 交響詩《海》 - 3つの交響的スケッチ
「水を音楽で描くことにこだわった男の集大成」
印象主義を代表する作曲家ドビュッシーは、《水の反映》《水の精》《雨の庭》など、水を音楽で表現することに強いこだわりを持った作曲家だ。中でも管弦楽を用いた交響詩《海》は、その思いが結集された作品と言えそうだ。初版のオーケストラ・スコアの表紙には葛飾北斎の『富嶽三十六景』の中の「神奈川沖浪裏」が描かれていたことも印象的だが、この絵から着想を得たかは不明。波乱万丈の私生活が創作の背景に見え隠れする傑作だ。
11位.レスピーギ:交響詩《ローマの松》
「古代ローマへの郷愁と幻想を描いた出世作」
《ローマの噴水》《ローマの祭》とともに「ローマ三部作」を構成する《ローマの松》は、イタリアの作曲家レスピーギのローマ愛が結実した作品にして、その名を世に広めるきっかけとなった名作だ。4部構成によって描かれる“松のある風景”は、「松」という自然の存在を通じて、古代ローマへの郷愁と幻想を描いたとされる。作品の中にはグレゴリオ聖歌などの古い教会音楽が響き、古代ローマの兵士が石畳を征く姿などが見え隠れする。
12位.バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116
「バルトーク最晩年の遺産にして最高傑作」
この曲は、ボストン交響楽団の音楽監督を務めていたクーセヴィツキ−が、自らの生誕70年と、同響就任20周年を記念してバルトークに依頼した作品だ。その背景には、祖国ハンガリーを棄てて米国に亡命し、仕事も手につかない状況にあった失意のバルトークを励ます思いが込められていた。作曲者最晩年の作品の特徴である穏やかで華やかな雰囲気を持つこの音楽は、高度な演奏技術を求められる反面最も親しみやすい最高傑作に違いない。
13位.チャイコフスキー: 弦楽セレナード ハ長調 作品48
「モーツァルトへの憧れが生み出した名旋律」
「おお人事」のTVCMによって一躍人気曲となったこの作品。CM放映当時、コンサートでこの曲が演奏されると会場からどよめきが上がったことを思い出す。TVの影響力もさることながら、この曲のインパクトの強さを改めて実感する瞬間だ。敬愛するモーツァルトへのオマージュとも言われるこの曲は、チャイコフスキーの“内面からの衝動”によって生み出されたと伝えられる。古典派の時代に好まれた“弦楽だけで奏でられる音楽”の美しさは見事の一言。
14位.ビゼー:《アルルの女》第1組曲・第2組曲
「作品の聴き所を集めた組曲は世界中で大人気」
フランス自然主義の作家アルフォンス・ドーデの作品を題材とした劇付随音楽《アルルの女》は、オペラ《カルメン》と共にビゼーの代表作。美しいメロディの宝庫だけに、そのどちらにも管弦楽用に編曲された組曲が存在する。《アルルの女》においては、ビゼー自身が4曲を選んだ「第1組曲」と、それ以外の4曲を親友ギローが選んだ「第2組曲」の2つが並び立つ。作品全体の聴きどころばかりを集めた2つの組曲の美しさと楽しさはまさに破格だ。
15位.R.シュトラウス: 交響詩《英雄の生涯》作品40
「音楽で何でも描けると豪語した男の自画像」
「交響詩(管弦楽で演奏される標題音楽)」の世界に数多くの名作を遺したR.シュトラウスによる最後の「交響詩」がこれだ。ここで描かれる「英雄」とはシュトラウス自身。自らの人生を音楽として描けるのは「音楽で何でも表現できる」と豪語していたシュトラウスならでは。ベートーヴェンを意識したように、“楽聖”の交響曲第3番《英雄》と同じ「変ホ長調」で書かれたこの作品は、シュトラウスの管弦楽技法の頂点を極める華やかさだ
16位.シベリウス:交響詩《フィンランディア》作品26
「フィンランドの独立運動を象徴した名曲」
フィンランドの国民的な作曲家としてその名を知られるシベリウスは、20世紀を代表する“交響曲作曲家”として活躍。1899年に作曲された代表曲《フィンランディア》は、当時のロシアに対する独立運動の象徴となった作品で、北欧の雄大な自然をイメージさせる音楽が世界中で愛される人気曲だ。「フィンランドは目覚める」という当初の曲名は、フィンランドへの愛国心を巻き起こすとして、帝政ロシア政府が禁止したという伝説の作品でもある。
17位.ストラヴィンスキー:バレエ《火の鳥》
「ストラヴィンスキーの名を世に知らしめた傑作」
「ロシア・バレエ団」の主宰者ディアギレフからの依頼によって作曲された「3大バレエ」の冒頭を飾る《火の鳥》は、1910年にパリ・オペラ座で初演され大成功。この後に続く《ペトルーシュカ》&《春の祭典》によって若きストラヴィンスキーは時代の寵児へと上り詰めたのだ。壮大な音楽は、ディズニー映画『ファンタジア2000』の中にも登場する。灰の中から復活した火の鳥が、美しいアニメーションの中で躍動するシーンは何度観ても感動的だ。
18位.ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 作品56a
「先達のメロディを生かした9つの素敵な変奏」
有名な作曲家の名旋律をもとにした変奏曲の作曲は、ベートーヴェンやショパンにリストなど、名だたる作曲家たちが行っている。ハイドンの主題をもとにしたブラームス作品もその一つ。原曲は《管楽器のためのディヴェルティメント》というあまりメジャーではない作品ながら、ブラームスの手腕によって大変身。9曲の変奏曲は、そのそれぞれが独立した音楽として成り立つほどの完成度を誇っているのが素晴らしい。2台ピアノ用の編曲もあり。
19位.メンデルスゾーン:劇付随音楽《真夏の夜の夢》
「世界中の新婚夫婦を祝福する名曲がこの中に」
シェイクスピアの戯曲『真夏の夜の夢』は、夏至の時期の真夏の夜に行われる「聖ヨハネ祭」の前夜には幻想的な怪奇現象が起こるという言い伝えをもとにした喜劇だ。早熟の天才メンデルスゾーンは、17歳の時にこの戯曲に霊感を受けて「序曲」を作曲。その17年後に残りの部分を作曲すると言う離れ業を演じている。あまりにも有名な〈結婚行進曲〉を含むファンタジーに満ちたこの作品は、メンデルスゾーンの代表作として愛されている。
20位.ラヴェル:バレエ《ダフニスとクロエ》
「稀代の名プロデューサー、ディアギレフの遺産」
「ロシア・バレエ団」の主宰者ディアギレフからの依頼によって作曲されたこの曲についてラヴェルは「私が目指したのは古代趣味ではなく私の想像の中にあるギリシャ。それをもとに巨大な音楽の壁画を作り上げることだった」と語っている。古代ギリシャの物語を題材としたこのバレエ作品は、初演から100年後の現在も、世界中のバレエ団にとって重要なレパートリーとなっているのだから素晴らしい。それにしても素晴らしきはディアギレフの慧眼!
21位.グリーグ:《ペール・ギュント》~朝の気分
「朝をイメージしたクラシックの代表作がこれ」
グリーグと同郷のノルウェーの劇作家イプセンの委嘱を受けて作曲された劇音楽《ペール・ギュント》は、26のバラエティに富んだ小曲からなる名作だ。その音楽を作曲者グリーグ自身が管弦楽用に編曲した2つの組曲は、グリーグの代表作としてコンサートでも頻繁に演奏される人気プログラムだ。中でも名高い〈朝の気分〉の清々しさはまさに北欧の作曲家グリーグならでは。澄み切った空気の中で迎える気持ちの良い朝の雰囲気が美しい。
22位.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
「“現代音楽の目覚め”と讃えられる記念碑的舞曲」
印象主義を代表するドビュッシーの名を世に知らしめた記念碑的なこの曲は、敬愛するフランスの詩人マラルメの『半獣神の午後』に感銘を受けて書かれた名作で、牧神が奏でるパンの笛の美しいメロディをフルートが印象的に響かせる名曲だ。初演は1894年12月22日にパリでおこなわれている。この作品の重要さについて20世紀を代表するフランスの作曲家ピエール・ブーレーズは、「現代音楽の目覚め」と讃えていることも印象的だ。
23位.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
「スペインのマルガリータ王女に触発された名旋律」
ピアノ曲として誕生した名作《亡き王女のためのパヴァーヌ》は、ベラスケス工房『マルガリータ王女』の絵に触発されて作曲された名曲だ。完成から11年後に作曲者自身の手によってオーケストラ用に編曲。“オーケストラの魔術師“と謳われたラヴェルの手腕は素晴らしく、弦楽器のアンサンブルに支えられたホルンが美しいメロディを響かせる。ピアノ版の初演は1902年、当時最高の名手と謳われたリカルド・ビニェスのピアノによって行われた。
24位.チャイコフスキー:バレエ《白鳥の湖》作品20~情景
「バレエ音楽を象徴する圧倒的な名旋律」
《眠れる森の美女》《くるみ割り人形》と並ぶチャイコフスキーの“3大バレエ”の中でもひときわ名高い《白鳥の湖》は、悪魔によって白鳥の姿にされてしまったオデット姫と、ジークフリート王子との出会いと愛を描いた不朽の名作だ。今も世界中の劇場で上演され続けられるこの作品の中でも特に有名な〈情景〉の美しさは抜群。ナタリー・ポートマンが演じた2010年のアメリカ映画『ブラック・スワン』の中でも印象的に使われている名旋律だ。
25位.ヘンデル:組曲《水上の音楽》~アラ・ホーンパイプ
「英国王のテムズ川遊覧を彩るBGM」
ドイツからイギリスへ帰化した作曲家ヘンデルの代表作として知られるこの曲は、イギリス国王ジョージ1世が、1717年の夏にロンドンを流れるテムズ川で舟遊びをする際のBGMとして作曲された音楽だ。船に50人もの楽師を載せた演奏を喜んだ国王は、テムズ川を往復する間に2度繰り返させたほか、水遊びのあとの晩餐会でも演奏させた記録が残っている。名高い〈アラ・ホーンパイプ〉は、17世紀後半にイギリスで流行した舞曲の名称。
26位.エルガー:エニグマ変奏曲 作品36
「エルガーが音楽で描いた友人たちの肖像画」
1857年生まれのイギリスの作曲家エルガーの名を一躍有名にした作品が、1899年に初演された管弦楽のための《エニグマ変奏曲》だ。主題と14の変奏からなるこの作品は、14の変奏それぞれに、エルガーの親しい友人たちである献呈者のイニシャル等が添えられていることも人々の興味を煽ったと言われている。なかでも弦楽合奏で奏でられる第9変奏〈ニムロッド〉の美しさはこの作品の白眉と言えそうだ。作曲者自身によるピアノ独創版も存在する。
27位.エルガー:行進曲《威風堂々》 作品39 第1番
「イギリス第二の国歌として愛される超人気曲」
20世紀初頭のイギリスを舞台に活躍したエルガーの代表作である行進曲《威風堂々》のタイトルは、シェイクスピアの『オセロ』第3幕第3場におけるオセロのセリフによるものとされている。英国王エドワード7世の提案によって中間部に歌詞が付けられ、「希望と栄光の国」という名で歌われるようになったこの曲は、“イギリス第二の国歌”として愛されている。ロンドンの夏の風物詩「BBC Proms」ラスト・ナイトの大合唱でもお馴染みの名曲だ。
28位.プロコフィエフ:バレエ《ロメオとジュリエット》~騎士たちの踊り
「不協和音が恐怖を煽る近代バレエの傑作」
冒頭の不気味な不協和音に続く重量感に満ちたダンス・シーンがとても印象的なこの曲は、契約の問題等で依頼されたバレエの初演が先送りされたために、業を煮やしたプロコフィエフが一足先に発表した管弦楽組曲の中の〈モンタギュー家とキュピレット家〉としても有名。今やコンサートの人気プログラムになっているのだから興味深い。さらには作曲者自身のピアノ独奏版も存在するあたりが、才能豊かで抜け目ないプロコフィエフならでは。
29位.ベートーヴェン:《エグモント》作品84 -序曲
「敬愛するゲーテへのベートーヴェンの熱き思い」
スペインの圧政から逃れて独立しようとする16世紀のオランダを背景に、独立運動の指導者エグモント伯ラモラールの悲劇を描いたゲーテの戯曲『エグモント』。この作品をウィーンで上演する音楽を依頼されたベートーヴェンは、敬愛する同時代の詩人ゲーテ作品の為に序曲を含めた10曲の劇音楽を作曲。ここに文豪と楽聖の豪華な競作が誕生したのだ。ドラマティックな物語を象徴する序曲は、コンサートでも単独で演奏されることの多い名曲だ。
30位.ヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ 《美しく青きドナウ》 作品314
「オーストリア第二の国歌はニューイヤーの定番」
ウィンナ・ワルツやポルカなどを数多く手掛け、“ワルツ王”と呼ばれるヨハン・シュトラウスⅡ世の中でも、ひときわ名高い作品が《美しく青きドナウ》だ。ドイツ南西部の森林地帯に端を発し、ヨーロッパ10ヵ国をゆったりと流れて黒海に至るドナウ川。その美しい姿が目に浮かぶようなこのワルツは、オーストリアでは“第二の国歌”と呼ばれて愛されている。毎年ウィーンで行われる「ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート」の定番曲としても有名。