クラシック百貨店 解説 クラシック百貨店 解説

クラシック百貨店 解説

クラシック百貨店 解説

 

〜室内楽/歌劇&声楽曲編〜



 

1位.モーツァルト:歌劇《魔笛》K.620


「モーツァルト最後のオペラはファンタジー」
 
モーツァルトが、35年の短い生涯の最後に完成させたオペラが《魔笛》だ。その内容は、人間の愛や希望&信頼といったキーワードをテーマにした、“鳥刺しパパゲーノの冒険物語”といった趣のファンタジー。このドタバタ喜劇を包み込むように奏でられるメロディやアリアの美しさこそが、オペラ・ファンから初心者までが楽しめる由来だろう。強烈な印象の名曲〈夜の女王のアリア〉は、宇宙探査機ボイジャーに搭載されて今も宇宙空間を飛行中だ。

2位.フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調


「遅咲きのフランクが遺した唯一にして最高の傑作」
 
64歳のフランクが遺した唯一のヴァイオリン・ソナタは、全てのヴァイオリン・ソナタの中で最も人気の高い作品の一つだ。当時のフランスでは軽めのサロン音楽が人気を集めていたせいで、ドイツ古典音楽的ながっちりとした構成にフランス伝統の柔らかな感性を加えたフランクの音楽が認められるのにはかなりの時間を要したようだ。作品は大ヴァイオリニスト、イザイの結婚記念日に献呈され、1886年にイザイ夫妻によって初演されている。

3位.ビゼー:歌劇《カルメン》


「初心者も楽しめること間違い無しの超娯楽大作」
 
古今東西のオペラの中で最高の人気を誇る作品《カルメン》は、ビゼー最後のオペラにして最大の傑作だ。主人公は、スペイン・セビリアのタバコ工場で働くロマの娘カルメン。既存の高尚なオペラとは全く違うエキゾティックな内容が聴衆に受け入れられるまでには時間がかかり、ビゼーは成功を見ずにこの世を去ってしまったことが惜しまれる。オペラの名旋律を抜き出した「管弦楽組曲」もさまざまなヴァージョンが存在し、その人気は高まるばかりだ。

4位.シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 D667《ます》


「思わずメロディを口ずさみたくなる程の美しさ」
 
第4楽章に自作の歌曲〈ます〉のメロディが流れることから「ピアノ五重奏曲《ます》」と呼ばれるようになったこの美しい室内楽は、22歳のシューベルトによる唯一のピアノ五重奏だ。その特徴はピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロに、室内楽では珍しいコントラバスを加えたこと。友人の歌手フォーグルと、北オーストリアへの演奏旅行の際に知り合った鉱山業者パウムガルトナーからの依頼によって作曲された若きシューベルトの代表作だ。

5位.モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626


「“3大レクイエム”の筆頭に位置する感動作」
 
モーツァルトの死によって未完となったこの作品にはさまざまな憶測や伝説がつきまとう。音楽愛好家シュトゥバッハ伯爵からの名前を隠した作曲依頼を自らの天命と受け止めたモーツァルトの葛藤や、未完の作品を完成させた弟子のジュスマイヤーにまつわるミステリアスな逸話も含め、作品への注目度は高まるばかり。それもこれもモーツァルト作品中一、二を争う人気曲ゆえの宿命か。「宗教曲」というジャンルに抵抗のある方にもぜひ聴いてほしい。

6位.J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV244


「イエス・キリスト最後の7日間を音楽で辿る」
 
ヨーロッパでは、復活祭前の金曜日である聖金曜日(イエス・キリストの受難と死を記念する日)に、バッハの名作《マタイ受難曲》を演奏する習慣がある。作品の内容は、新約聖書の「マタイ伝」に基づいたイエス・キリスト最後の7日間を描いた劇的な音楽だ。バッハのすべてが込められたとでも言うべきこの作品の価値は永遠不滅。無人島に1曲だけ持っていくなら絶対にお勧めしたいこの作品は、宗教の有無を超えたところに存在する。

7位.モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581


「名手シュタードラーに捧げられた“白鳥の歌”」
 
名高い「クラリネット協奏曲」同様、同時代のクラリネットの名手アントン・シュタードラーの腕前に触発されたモーツァルトが、彼のために書き上げたこの曲の別名は「シュターラドー五重奏曲」。当時はまだ発展途上の楽器であったクラリネットの可能性を追求し、その性能が大幅に上がるきっかけにもなったこの作品の美しさと儚さは格別だ。作曲当時のモーツァルトに残された時間は約2年余。まさに「白鳥の歌」と呼べるような名曲だ。

8位.モーツァルト : 歌劇《フィガロの結婚》K.492


「美しいメロディが散りばめられたドタバタ喜劇」
 
ボーマルシェの戯曲『たわけた一日、あるいはフィガロの結婚』をもとに劇作家ダ・ポンテが台本を書いたこのオペラの内容は、伯爵家の召使フィガロと小間使スザンナの結婚を軸に、セクハラな伯爵を使用人たちが手を組んで懲らしめるというドタバタ喜劇。名曲のオンパレードの中でも特に印象的なアリアが、映画『ショーシャンクの空に』の中で使われた第3幕の二重唱〈そよ風に寄せて〉だ。音楽に聞き入る囚人たちの姿がその魅力を物語る。

9位.ワーグナー:楽劇《ニーベルングの指環》


「ワーグナー偶像を確立した史上空前の大作」
 
完成までに26年の歲月を費やし、上演に4夜15時間を要する空前の大作《ニーベルングの指環》は、古代北欧神話やドイツ英雄伝説にギリシャ悲劇などを下地にした《ラインの黄金》《ワルキューレ》《ジークフリート》《神々の黄昏》の4つの楽劇からなる壮大な神々の物語だ。魔法の指環に封じ込められた呪いをもとに展開される神々の争いからは、今の時代にも通じる危うさが感じられ、初演の地バイロイトは、今もワーグナーの聖地として崇められる。

10位.プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》


「名曲〈誰も寝てはならぬ〉を含む壮大なオペラ」
 
名高いトゥーランドット姫の物語を描いたプッチーニ最後のこのオペラは、作曲者の死によって未完に終わる。その後アルファーノの追補によって完成されたこの作品は、名指揮者トスカニーニによって初演され、今に至る人気オペラとなった。中国を舞台にした壮大な作品の中でも特に有名なアリア〈誰も寝てはならぬ〉は、2006年のトリノ・オリンピックで金メダルを獲得したフィギュアスケートの荒川静香選手の使用曲として一躍有名になった名曲だ。

11位.シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44


「“室内楽の年”を象徴する傑作ピアノ五重奏曲」
 
シューマンの「室内楽の年」と呼ばれる1842年は、「弦楽四重奏曲」3曲のほか、この「ピアノ五重奏曲」を手掛ける充実ぶりだ。弦楽四重奏(2本のヴァイオリンとヴィオラ、チェロ)にピアノを加えるという楽器編成は当時の流行であり、シューマンもこれをいち早く取り入れた格好だ。初演は1843年1月8日。ライプツィヒにおいて愛妻クララのピアノと弦楽四重奏団によって行われ、室内楽ジャンルにシューマンの名が鳴り響く結果となった

12位.ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 作品96《アメリカ》


「名作の宝庫“アメリカ時代”を象徴する名旋律」
 
ニューヨークのナショナル音楽院院長を務めていたアメリカでの約4年間(1892-95)は、交響曲第9番《新世界より》を筆頭に、ドヴォルザークの名作の宝庫だ。黒人民謡や霊歌、あるいはアメリカ原住民の音楽や語法が、祖国チェコへのノスタルジーと重なり合った音楽は、聴くものの琴線に触れる力を持っている。この作品に付けられた《アメリカ》という副題は、自筆譜の表紙に書かれた「アメリカでの第2作…」からきたものだ。

13位.プッチーニ:歌劇《ボエーム》


「クリスマス・イヴの屋根裏部屋で芽生えた恋🎄」
 
《蝶々夫人》《トスカ》と並ぶ、プッチーニの3名作の一つ《ボエーム》は、パリのラテン地区に住む芸術家を夢見る貧しい若者たちとお針子の日常生活を描いたアンリ・ミュルジェールの原作に基づく麗しい作品だ。貧しくも美しい人間模様は、若きプッチーニの思い出にも重なっている。ニューヨークのMET(メトロポリタン歌劇場)が舞台となった1987年の映画『月の輝く夜に』では、このオペラが全編に渡って使われている。

14位.フォーレ:レクイエム 作品48


「限りない美しさに心打たれる瞬間を体験」
 
モーツァルト&ヴェルディのレクイエムと共に「3大レクイエム」の一つに数えられるこの作品が出版されたのは1901年。まさに世紀の変わり目に生まれた美しい作品だ。作曲者のフォーレは、カトリック教会のオルガニストを長く務め、その作品の多くが、宗教的な作品だ。最大の成功作と言われる《レクイエム》についてフォーレは「特定の人物や事柄を意識して書いたものではない」と語っている。まさに純粋な美しさのみが心に残る名作だ。

15位.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 作品47《クロイツェル》


「トルストイの名作『クロイツェル・ソナタ』の原点」
 
1803年に完成されたこの曲は、ベートーヴェンが遺した10曲のヴァイオリン・ソナタの中でも最高傑作の誉れ高い名作だ。この作品が生まれる背景には黒人の父とポーランド人の母を持つヴァイオリンの名手ブリッジタワーが存在する。しかし初演の後に2人の関係は悪化。なんとヴェルサイユ生まれのヴァイオリニスト、クロイツェルに献呈されたことからこの名作の通称は《クロイツェル》となった。人間関係の難しさは今も昔も変わらない。

16位.ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 作品97《大公》


「ハルキスト必聴!“海辺のカフカ”のテーマ曲」
 
ベートーヴェンの室内楽を象徴するようなこの作品の完成は1811年。ベートーヴェン41歳の年だ。ベートーヴェンの支援者として年金を送り続けたルドルフ大公に献呈されたことから《大公》と呼ばれるようになったこのピアノ・トリオは、その名に相応しい優雅さと堂々とした気品を持つ傑作だ。そしてこの室内楽作品の人気を高めたのが、村上春樹の小説『海辺のカフカ』だ。《大公》トリオをテーマ曲のように登場させた村上春樹のセンスに拍手喝采。

17位.ヴェルディ:歌劇《アイーダ》


「サッカー・ファンなら絶対に聴くべき名作オペラ⚽」
 
一般の人々がオペラに思い描く絢爛豪華なイメージを全て実現した作品が《アイーダ》だ。ファラオの時代のエジプトを舞台にしたこの作品には、荘厳な音楽に象や馬まで登場する凱旋の行進などなど、見どころ聴きどころが満載。サッカーとの縁も深く、イタリアの「パルマFC」が勇壮な〈凱旋行進曲〉を応援に使っている他、設立当初はイタリアの偉人ヴェルディに因み「ヴェルディ・フットボール・クラブ」を名乗っていたことも有名だ。

18位.ヴェルディ:歌劇《椿姫》


「高級娼婦ヴィオレッタの純愛に涙する」
 
パリの社交界でその名を知られた実在の高級娼婦マリー・デュプレシを主人公にしたこのオペラは、ビゼーの《カルメン》と並ぶオペラ史上屈指の人気作だ。原題は「道を踏み外した女」と言う意味の「ラ・トラヴィアータ」。主人公ヴィオレッタとその恋人アルフレードと彼の父ジェルモンの3人を軸に展開されるシンプルな物語は、そこらのドラマなど足元にも及ばない程の素晴らしさだ。まさに涙なしでは見られない傑作オペラがここにある。

19位.ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》


「濃密でエロティックな音楽がお好きな方へ」
 
ワーグナーが遺したオペラ(楽劇)の中でも最もロマンティックな作品がこれだ。中世ヨーロッパで広く知られる「トリスタン伝説」を題材としたオペラの内容は、コーンウォールの騎士トリスタンと、アイルランドの王女イゾルデの濃密な恋愛物語。敵対する2人が媚薬によって愛に溺れ、死に至るまでを描いた音楽は、まさにエロティックの極みだ。その長さにたじろいだ方は、エッセンスが込められた〈前奏曲〉と〈愛の死〉だけでも聴いてほしい。

20位.ヴェルディ:レクイエム


「オペラ作曲家ならではの劇的なレクイエム」
 
敬愛するイタリアの文豪アレッサンドロ・マンゾーニの死を悼んで作曲されたこの作品は、マンゾーニの一周忌にあたる1874年5月22日に、ミラノのサン・マルコ教会で初演された。当時のイタリアを代表する歌手たちを集めた演奏は、その後3回に亘ってミラノ・スカラ座で上演され、大成功を収めたと伝えられる。その反面、「あまりにもオペラ的で華美すぎる」という否定的な声も聞こえたが、今やクラシック史上屈指の名曲に他ならない。

21位.シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D810《死と乙女》


「亡くなる4年前に描き出した自信作」
 
1824年に作曲されたこの曲は、第2楽章が自身の歌曲〈死と乙女〉のメロディを引用していることから同名で呼ばれるようになった傑作だ。冒頭がベートーヴェンの交響曲第5番《運命》にも通じるような激しい3連符で彩られるこの作品に自信をもっていたシューベルトは、楽譜を出版するためにいくつもの出版社と交渉したにもかかわらず、結局話はまとまらず。彼の生存中には出版されることがなかったという、悲しい史実に胸を打たれる。

22位.ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 作品132


「最晩年の楽聖が到達した無双の高み」
 
ピアノ・ソナタ全32曲、交響曲全9曲を書き終えた最晩年のベートーヴェンが向かったさらなる高みが5曲の弦楽四重奏曲だ。そこには、美しさと共に時代を切り開く新時代の音楽要素がふんだんに込められていたことは見逃せない。中でも第15番は、「病が癒えた者による聖なる神への感謝の歌」と題された美しく崇高な第3楽章を持つ最高傑作の誉れ高い名作だ。初演は1825年11月。ベートーヴェンの死は約1年半後に迫っていた。

23位.ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115


「ブラームス枯淡の境地が心に沁みる名旋律」
 
モーツァルトの傍にシュタードラーがいたように、ブラームスには、マイニンゲン宮廷管弦楽団の首席クラリネット奏者ミュールフェルトが存在した。その素晴らしい腕前によって「楽団のナイチンゲール」と讚えられたミュールフェルトは、作曲活動からの引退を考えていた当時60歳のブラームスの心を触発し、一連のクラリネット作品を生み出すきっかけとなったのだから素晴らしい。五重奏曲はブラームス晩年の成熟した響きが心に染みる名曲だ。

24位.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 作品24《春》


「明るさと幸福感に満ち溢れた名旋律」
 
ベートーヴェンが遺したヴァイオリン・ソナタ全10曲の中で、名称の付いた作品は、第5番《春》と第9番《クロイツェル》のみ。この2曲の人気は飛びぬけている。《春》はベートーヴェン自身の命名ではないが、比較的暗めの曲が多いベートーヴェン作品の中で際立った明るさと幸福感に満ち溢れたこの曲が「春のソナタ」と呼ばれるようになったのは自然の成り行き。ベートーヴェンによる極めつけに美しいメロディが楽しめる名曲だ。

25位.R.シュトラウス:楽劇《ばらの騎士》 ~三重唱


「遺言によって自身の葬儀でも演奏された名旋律」
 
ドイツ後期ロマン主義を代表するシュトラウスのオペラ《ばらの騎士》は、詩人ホーフマンスタールとの共同作業第2作目にあたり、シュトラウスの地位を不動のものとした記念碑的な作品だ。モーツァルト風のオペラを目指したその舞台はマリア・テレジア治世下のウィーン。全編が優雅な音楽に彩られた中でも第3幕の三重唱と二重唱の美しさはまさに格別。シュトラウス自身も愛着を寄せ、遺言によって自身の葬儀でも三重唱が演奏されている。

26位.モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》K.527~お手をどうぞ


「オペラは恋の教科書という言葉が頭をよぎる」
 
ダ・ポンテの台本に基づいた大ヒット作《フィガロの結婚》に続いてモーツァルトが手掛けた傑作オペラ《ドン・ジョヴァンニ》は、稀代の色事師ドン・ジョヴァンニの悪行とその悲劇的な最期を描いた傑作だ。全編に散りばめられた音楽の素晴らしさはモーツァルトならでは。中でもドン・ジョヴァンニと村娘ツェルリーナの恋の駆け引きを描いたデュエット〈お手をどうぞ〉は、甘い囁きに次第に心奪われる可憐な乙女の姿もいじらしい夢見るような音楽だ。

27位.J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV232


「バッハのすべてが注がれた後世へのギフト」
 
200曲にも及ぶ「教会カンタータ」や、《マタイ&ヨハネ受難曲》等、バッハが遺した偉大な宗教作品のすべてが注ぎ込まれた作品と呼ばれる名作が《ミサ曲ロ短調》だ。プロテスタントやカトリックの垣根を超えて生み出されたこの大作が完成したのは、バッハの死の前年に当たる1749年。バッハ64歳の年だった。平和への祈りが高らかに歌い上げられるフィナーレは、まさに後世を生きる我々に贈られた素晴らしいギフトのような趣だ。

28位.シューベルト:歌曲集《冬の旅》D911(作品89) ~菩提樹


「死を意識しつつ旅を続ける若者の姿に涙する」
 
ヴィルヘルム・ミュラーの詩につけられた傑作歌曲集《冬の旅》。中でも〈菩提樹〉は日本の愛唱歌としても有名だ。病に侵されたシューベルトが最後の力を振り絞って完成させたこの曲集の出版は死の1ヵ月後。作品の中に描かれた若者の姿はわずか31歳で亡くなったシューベルト自身を思わせる。20世紀を代表する歌手フィッシャー=ディースカウの「作品がもたらす厳しく凍りつくような印象を恐れてはいけない」という言葉が心に沁みる名作だ。

29位.ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス ニ長調 作品123


「ベートーヴェンが考える真の教会音楽の姿」
 
日本語では「荘厳ミサ曲」と訳されるこの作品は、その名の通りJ.S.バッハの《ロ短調ミサ曲》と並んで、古今東西のミサ曲中最も偉大な作品に違いない。ベートーヴェン自身もこの作品に強い自信を持っていたことは、出版に先立ってヨーロッパ諸侯に勧誘状を送っていることからも推察できる。生涯の大恩人ルドルフ大公に献呈されたこの曲は、教会の伝統に位置づけられた作品とは一線を画したベートーヴェンならではの宗教音楽であることに注目したい。

30位.オルフ:世俗的歌曲《カルミナ・ブラーナ》~おお、運命の女神よ


「一度聴いたら耳について離れない大迫力」
 
 オルフの名を一躍有名にしたこの曲は、舞台形式によるカンタータ《トリオンフィ(勝利)》三部作の第1部に置かれた名曲だ。第1曲〈運命の女神よ、世界の王妃よ〉のインパクトは絶大で、1981年の映画『エクスカリバー』に使われたほか、ドキュメンタリー映像などのBGMでも頻繁に使われる人気曲だ。1937年にフランクフルト歌劇場で行われた初演でもオーケストラを背景にした大合唱の強烈な音圧によって集まった聴衆の度肝を抜いたに違いない。

 
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