バッハ333
なぜ333?
ヨハン・セバスティアン・バッハの誕生から333年を記念する2018年。バッハの時代の音楽は、心地よいハーモニーを並べるだけの表面的なプロセスをはるかに超え、宗教的意義とその構造に深く組み込まれた意味を有していました。バッハの音楽の中で特に顕著なのは、ルター派の信仰の中心にある三位一体の教義です。それ故にバッハにとって、333は深い意味を持つ特別な年だといえましょう。
父と子と聖霊をあらわす、三位一体の3つの象徴は、オルガン作品「コラール前奏曲」(1739)では至る所で3もしくは 3x3x3の形で現れます。おそらく元々はオルガンのためにかかれたものではない4つのデュエットBWV 802-805のどちらかというと不自然な包含は、彼がトータルの曲数を27に増やすことを主眼に行われた為ではないかと推測されます。前奏曲とフーガBWV 552はフラット3つ(B/E/A)の象徴的な調性。これはバッハがオルガン作品として変ホ長調で唯一作曲した作品であり、オルガン奏者にとって最も重要なレパートリーです。前奏曲はコントラストの強い3つのテーマから成りますが、フーガは3の三乗(3×3×3)合計27の主題を含んでいます。
「ドイツ・オルガン・ミサ曲」(BWV 669-677)は父・子・聖霊を象徴する 三位一体の3つのテーマに対し、3曲1組で3セットの構成で作曲されています。ここでは、文学、音楽、絵画の3方面から三位一体の象徴主義が働いています。
バッハにとって三位一体の意義に関する思考は、とても短くシンプルな彼の三和音によるカノン(BWV1072)の中に顕著に現れています。三和音と言う用語はJohannes Lippiusによって1612年に作られ、三度音程の3つの音を重ねることで作られます。
三和音は美しい印象を生み、神聖なる三位一体の思想を彷彿とさせます。