オフィシャルインタビュー≪前篇≫ 公開!

2021.11.11 TOPICS

INTERVIEW


≪前篇≫

前篇では、サイダーガールの近況から、リリースが待ち遠しいニューアルバムのレコーディングでのエピソードを交えつつ、〝命を削って〟完成したと語る最新作もCDを手に楽しんでほしいという3人の思いをお届けします!

 

ーまずは、サイダーガールとして2021年はどんな動きだったでしょう?

フジムラ:年明けすぐにLINE CUBE SHIBUYAでワンマンライブがあって(1月7日)、そこからアルバムの制作期間に入って、5月からガッツリレコーディングしつつツアーを周って全部終わって今に至る、という感じです。
知:去年に比べたら、音楽的にはずっと動いてた感じですね。
Yurin:コロナ禍ということで、出演するフェスやイベントが中止になりそうだったのですが、無事開催できて、(コロナ禍前のような)いつも通り感っぽい動きだった気がしますね。

 

ー去年お会いした時には釣りにハマってるといった話をしてましたけど、今年はプライベートな時間があまりなかったのでは?

フジムラ:釣りはもう行ってないんですけど、でも、ゲームがすっごい好きになりましたね(笑)。
知:僕は元々ハマってたサウナによく行くようになりました。ゲームも好きなので、どうぶつの森(の中)でもサウナを作ったりしてましたし。
Yurin:僕はハマったこととかも特になくて、ずっと制作も忙しくて曲を作ってた1年、という感じでしたね。

 

ー制作が忙しかったというのはまさに、12月1日発売の『SODA POP FANCLUB 4』のためですよね。具体的に動き始めたのはいつでしょうか?

Yurin:今年に入ってからですね、これまでと変わらずデモはまず各々の自宅で作って。
フジムラ:2月くらいからデモを作り始めまして、今までアルバムを作った中で一番デモの数が多かったんですよ。
Yurin:30曲ぐらいあったかもなぁ。
フジムラ:ホワイトボードに(曲調が)明るい⇄暗いとか書いてグラフを作って、デモ曲を書き出して。
Yurin:理系的にX軸Y軸みたいに書いてね、そこに曲を当てはめていって。個人的には前作(『SODA POP FANCLUB 3』/2020年1月リリース)のバランス感がすごく良かったなぁというのがあったのでそれを踏まえてやっていけたらなというのもありつつ、作っていく中のテーマの一つとして、今作は恋愛ものの曲も作ってみようっていう話もあって。いわゆる分かりやすい恋愛の曲ってこれまでなかったので、そこに挑戦してみたいなと。

 

ー恋愛にまつわる曲は新鮮で、今作での新しいチャレンジだと思ってました。

Yurin:小っ恥ずかしさというか、今までは書けない・歌えないみたいな抵抗とかもあったと思うんですけど、今は、段々と恋愛の曲にも抵抗がなくなった、と言うより、自然に歌えるんじゃないかなというのも出て来たので。加えて今年からサイダーガールの“ガール”がいなくなったこともあって、バンドのスタンスとしても新しいものを見せていこうっていうのがあって、ちょうど良い機会なのかなと思って。

 

ー“ガールがいなくなった”のは何故でしょう?

Yurin:顔出しをしていないバンドなので広告塔・イメージキャラクターとしてガールに出てもらっていたんですけど、ビジュアルだけ見て曲も聞かずにガールズバンドみたいな見え方をされていることもあったと思うんですよ。だからバンドらしくじゃないですけど、我々がサイダーガールだっていうものを見せていくために変えていこう、と皆で話し合って。先入観とかを持たずに曲を聴いてもらえるかなというのもありつつ、(メンバーの)顔出しをしていないから曲にフォーカスして聴いてもらえる形は出来ていると思うので、だったらもっとそこに焦点を当てよう、みたいなところですね。

 

ーこれまでの女の子の顔アップのイラストのアルバムジャケットから、今作はジャケットのビジュアルも変えてきたな〜!と思ってました。

Yurin:なので、アルバムタイトルもナンバリングを続けるか話したんですけど、来年がデビュー5周年で“5”という数字が区切りが良い印象があるので、5まではナンバリングを続けてそこから次を考えよう、みたいな話に至りました(笑)。

 

ーでは『SODA POP FANCLUB 5』まではリリース確定で(笑)。サイダーガールは今作もこれまでもCDの通常盤と初回限定盤を作っていて、CDというパッケージをすごく大事にしている意識が強いバンドなのかなと思っているんですよね。

Yurin:うん、所有欲だったりとかコレクション的なところでCDの価値はあると思っているんですよね。今回は初回盤にブックレットとして、イラストレーターの方に曲ごとにイメージしたイラストを描いていただいて、作品としてただ見ても楽しんでもらえるし勿論聴きながら見ても楽しい、持っていると喜んでもらえるものを作ろう、と今までとはちょっと違う初回盤を作りました。

 

ーこのブックレットのアイディアというのは?

Yurin:アルバムに収録する楽曲が出来上がってきて、1曲1曲の情景描写だったり絵が浮かぶなぁというのがあって。それをさらにイラストにして視認性がある、見て世界観を感じられるようにしたら面白いかなと思って提案しました。

 

ーおっしゃる通り、曲の世界観が視覚からさらに広がりますね!

フジムラ:今はサブスクの時代で僕らの時代はレンタルだったんですけど、とりあえず借りて1回聴いておしまいっていうのがすごく多かったんですよ。CDを買って、所有するということはそのアルバムを大切にしようって思う気持ちが大きいと思うんですよね。尚且つそういうイラストがあったら、1曲ごとに入り込めるしアルバムがもっと特別なものになるんじゃないかなとはすごく思って。今回は今まで以上に胸を張って提供できるアルバムになったんじゃないかなってすごく思いますね。

 

ーそう思います。ちなみに、初めて皆さんが買ったCDって何でしたか?

知:僕は、ダンスダンスレボリューションのサウンドトラック(一同笑)を最初に買ってもらいましたね。自分で初めて買ったのは邦楽で、中学生になってCDを買えるようなお小遣いをもらうようになってからBUMP OF CHICKENのCDを買ったのをすごく覚えてます。擦り切れるまでブックレットも読みながら、CDコンポで聴いてましたね。
Yurin:自分で買ったのは多分、中1とかでポルノグラフィティかASIAN KUNG-FU GENERATIONのシングルだったんじゃないかなぁ?
フジムラ:初めてこのCDが欲しい!って思ったのが実はCDとして売ってるものではなくて。175RとMCUさん(KICK THE CAN CREW)のコラボで「ORANGE」っていう曲がすごく好きで、お菓子のキットカットについててそれを買ってメチャメチャ聴いてましたね。今思い出しました(笑)。

 

ーCDを手にするってやっぱり、記憶にも残るものですよね。

知:好きなアーティストのCDはフラゲ日の火曜に買いに行って、でも田舎だったので、売ってない!とか言ったりして。(CDを手にする)感動とかそういう感覚が、今の時代も少しでも誰かに残っていれば良いなと思いますね。

 

ー今回のサイダーガールのアルバムは沢山のワクワクを感じてもらえると思いますよ。CDの初回盤のお話で行くともう1つ、レコーディング風景を撮影したDVDもついてくるので拝見しましたが、レコーディングは伊豆で行ったそうですね?

フジムラ:伊豆も初めてで、合宿レコーディング自体も初めてでした。(メンバー一同マネージャーに視線を送る)
(深谷マネージャー):前作も合宿レコーディングの案があったのですが、実現できず、僕自身も合宿レコーディングの経験がなかったので実現させたかったのと、コロナ禍でずっと在宅での作業だったので気分転換、かつ音楽に集中できる環境やってもらいたい、ということで今回はそうしました。

 

ー大御所含めこれまで多くのミュージシャンがレコーディングをしてきたスタジオでの合宿レコーディング、いかがでしたか?

Yurin:正直不安はありました。これまでレコーディングは毎回、家で修正作業したものをスタジオに持って行くスタジオと家との往復でやっていたので、果たして合宿で修正作業がちゃんと出来るんだろうか、推敲していくプロセスをいつも通りやれるんだろうか?とか・・・。でも逆にずっとスタジオにいられるということもあって時間も余裕も出来て、終わってみればすごく効率が良かったのかなと思いますね。合計で10日くらいいたんですけど。

 

ー同じ屋根の下でメンバー皆が10日間も一緒にいるのは初めてでは?

フジムラ:確かに!初めてですね!
Yurin:風呂も皆で一緒に入ったし(笑)。
フジムラ:レコーディングで先に作業を終わった人が風呂掃除をして。で、一番掃除をやったのが僕なんですけど(笑)。すごい部活っぽい感じもして、楽しかったです。

 

ー楽しさも分かりますけど、それよりもすごく真剣に音作りをしているのが伝わって来ましたね。

Yurin:僕らはゼロから100近いところまで携わっているので、同じ曲を何回も聞いて制作しながら、どこで完成にするかというジャッジが永遠につかないんですよね。もっと良くなると思って、これで完璧!終わりにしよう!みたいにはならないんですよ。音のトラックダウンの時も、我々は音に対してのこだわりがあるし最後まで監修するしかないので。

 

ー敢えて正直に言わせてもらうと、顔が見えないバンド故にこんなに真摯に緻密に、音作りをしているなんて想像もしていなかったところがあるんですよ。

知:あぁ〜、なるほど。そうですか。
Yurin:バンドを始める前に自分が聴いていた音楽とかも全然、背景って見えないじゃないですか。この1曲を作り上げるのに果たしてどれ程の労力と時間がかかったのだろう、なんてことを考えて曲を聴かないと思うんですけど、うん。命を削って作ってるんだよっていうのが伝わると良いなって思いますね(笑)。
知:本当、命が削れます。僕はリードギターで歌のチェックとかもするから最初から最後までずっとブースにいて、曲の出来始めから録り終わるまでエンジニアさんに“こういう曲にしたい”っていうのを、ずっとコミュニケーションを取りながらやったりして。

 

ー音へのこだわりで知さんが語っていることやアルバム完成の瞬間の3人の表情はDVDを見てもらうことにしましょうか。スタッフの方にも恵まれて素晴らしいアルバムが完成したのだなと感じます。

 

インタビュー後編では、アルバム収録の全楽曲について3人が解説します、お楽しみに!

インタビュー:高橋 ちえ