BIOGRAPHY
Catrin Finch カトリン・フィンチ
「ハープの女王」と呼ばれるカトリンはイギリスのみならず世界中の観客を魅了し続けている。5歳でハープに興味を抱いてから瞬く間に才能を発揮し始め、9歳の時にはイギリスの音楽検定試験の最上級、8級の最高点を獲得した。パーセル・スクール・オブ・ミュージックに入学する前の8年間はエリナー・ベネット(Elinor
Bennett) に師事し、後に英国王立音楽院に進む。英国王立音楽院ではスカイラ・カンガ(Skaila
Kanga)に師事し、同学年の最優秀生徒に送られる女王賞を受賞。2002年に同校を卒業した。
彼女のメジャー・コンクールでの成功談は、世界を代表するハープ・コンクールのひとつ、フランスのリリー・ラスキーヌ・インターナショナル・ハープ・コンペティションで1999年に優勝したことから始まる。ニューヨークのヤング・コンサート・アーティスツ・インターナショナル・オーディションで優勝すると、カトリンはアメリカの30州で演奏会を行った。その中にはニューヨーク、ボストン、ワシントンD.C.でのリサイタルやコンチェルト・デビューも含まれる。2004年5月にはクラシカル・ブリット・アワードにノミネートされたほか、ドイツでエコー・クラシック賞を受賞した。
カトリンは先日までチャールズ皇太子(ウェールズ王子)の御用達ハープ奏者を務めていた。1873年以降は誰も務めることがなかった栄誉職に2000年から2004年まで任命されていた。在任期間中は王宮の定期演奏会のほか、世界中の王室関係者のために演奏旅行を行った。
アメリカ、中東、アジアとヨーロッパと広範囲に亘って演奏してきた彼女は、世界中のトップ・オーケストラとも共演してきた。ボストン・ポップス、ニューヨーク・フィルハーモニック、フィルハーモニア管弦楽団、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ、イギリス室内管弦楽団、シャーロット交響楽団、レークチャールズ交響楽団、ノースカロライナ交響楽団。マンチェスター・カメラータなどである。
2005/06年シーズンの注目事項としてはモーストリー・モーツァルト音楽祭の一環として開催されたリンカーン・センターでのコンチェルト・デビュー、ニューヨークのワイル・リサイタル・ホールでのリサイタル、ザルツブルク音楽祭へのデビュー、ライプツィヒのMDR夏の音楽祭での演奏とエディンバラ国際音楽祭出演が挙げられる。
2006/07年シーズンはウェールズに戻りカーディフのセント・デイヴィッド・ホールでのプロムナード・コンサートやサウス・カロライナで行われたスポレト音楽祭、日本へのコンサート・ツアー、イスタンブールやマン島でのコンサート、彼女のビッグバンド’CF47’とのイギリス・ツアー、南アメリカ公演、ウェールズと全英に渡るコンサート・ツアーなどを行った。
2008年、カトリンは香港デビューを果たし、ウェールズ人のバス・バリトン歌手ブリン・ターフェルとスカンディナヴィア・ツアーを行った。またロンドン・モーツァルト・プレイヤーズに参加しコンサート・ツアーを行ったほか、MDR夏の音楽祭に再び出演、ブルターニュ半島のロリアンで行われたケルト民族フェスティヴァルでも演奏を披露した。
2008年は「Acapela」のオープニングという記念すべき年でもあった。カトリンと夫のハウエルがカーディフ郊外の教会を改造し、レコーディング・スタジオ兼コンサート会場を作ったのだ。
カトリンはイギリスのみならず海外でも主要テレビ番組やラジオ局に出演している。最も初期のテレビ出演の中にはBBCの「ブルー・ピーター(Blue
Peter)」(名物教育番組)に2回出演したことが含まれるが、それ以降はイギリスのラジオとテレビ番組に数え切れないほど出演している。2003年には「チャーリーズ・エンジェル」という題のテレビ・ドキュメンタリー番組を自身で手がけ、同番組は優秀音楽番組として英ウェールズアカデミー賞を受賞した。
作曲家カール・ジェンキンスとは近しく共同活動を続けてきており、チャールズ皇太子から委嘱された2台のハープのためのコンチェルトの初演などはその一例である。カトリンは現在ジョン・ラター(John
Rutter)や ハワード・グッドール(Howard
Goodall)といった作曲家がハープのために書き下ろした新作に取り組んでいる。
カトリンはユニバーサル、ドイツ・グラモフォン、EMIにソニー・クラシカルといった国際的なメジャー・レコード会社のほとんどに作品を録音してきているが、ソロ作品だけでなくブリン・ターフェル、サー・ジェイムズ・ゴールウェイ、ジュリアン・ロイド・ウェッバーといった有名アーテイストとの共演も含まれる。様々な音楽ジャンルを弾きこなせる多才さは録音作品から明らかだが、ソロ・クラシックのリサイタルやコンチェルトからエレクトリック・クロスオーヴァー・ミックス、自身の14人編成のバンド”CF47″など演奏活動も幅広く行っている。
カトリンの最新作、J.S.バッハの『ゴルトベルク変奏曲』はドイツ・グラモフォンから2009年1月(日本盤は4月)にリリースされる。イギリスではゴルトベルク変奏曲のコンサート・ツアーが2月から始まる。世界中の音楽家たちとの共演も予定されている。3月にはコロンビア出身のシマロン(Cimarron)とのイギリス・ツアー、その後ノースカロライナ交響楽団とのアメリカ・コンサート・ツアーが続く。
彼女はウェールズ大学アベリシウス校とバンガー校、英国王立ウェールズ音楽演劇大学、英国王立音楽院からそれぞれ名誉学位を与えられている。また、英国王立ウェールズ音楽演劇大学と英国王立音楽院では客員教授も勤めている。
様々なコミュニティや若い世代との活動でも知られるカトリンは、ハープとクラシック音楽の魅力を幅広く、新たな観客たちに伝えようと献身的に活動している。