前作『エレファンク』からはラヴ&ピース・ヒップホップ・アンセムとなった「ホエア・イズ・ザ・ラヴ」、某人気コンピューター会社のCMソ ングとして注目を集めた「ヘイ・ママ」のヒット、2004年2度の来日パフォーマンスなどで瞬く間に日本でもその知名度を確立したBEP。本国アメリカで は今年2005年、全国民が観戦し、国民的人気を持つエンタテナーしか出演できないアメリカン・フットボールの大祭典でのハーフタイム・ショウにてパ フォーマンス、その実力を証明した。

そんな彼らがアルバム『エレファンク』リリース以降、ノン・ストップで走り続ける中、作り上げた本作『モンキー・ビジネス』はクリエイティビティがピークに達した彼らの、そして音楽史上のマスターピースとなる。

今作のレコーディングにゲスト参加したアーティストにはあのファンク帝王ことジェイムス・ブラウンをはじめ、スティング、「ホエア・イズ・ザ・ラ ヴ」に続いての共演となるジャスティン・ティンバーレイク、カニエ・ウェストの全面バックアップを得て先頃デビューを飾った話題のR&Bシン ガー＝ジョン・レジェンド、映画『パルプ・フィクション』でお馴染みのディック・デイル、そしてなんとジャック・ジョンソンまで、まさにブラック・アイ ド・ピーズならではの新旧音楽ファンを唸らせる名前がズラリと並んでいる。中心人物ウィル・アイ・アムはこのアルバムについて「ヒップホップ版ボリウッド （インド映画）」、「今のヒップホップとは全く違う」とコメントしている。

気になるファースト・シングルは紅一点ファーギーを大フィーチャーした「ドント・ファンク・ウィズ・マイ・ハート」。このPVはBEPの「シャッ ト・アップ」や、アヴリル・ラヴィーン、ブリンク182、メタリカなどのPV制作、最近ではジャック・ジョンソンのとのフィルム作品＋マネージメントとし て知られるザ・マロイズが監督。BEP独特のユーモア・センス満載のPOPな仕上がりとなっている。

なお、このアルバムは当初04年11月リリースを予定していたものの、制作最終段階に入った8月12日、LAはバーバンクにある彼らのスタジオで火 災が発生して発売が延期したという一件を乗り越えてのリリースでもある。その出火原因は、レコーディング中にメンバーが点けていたロウソク。これにより ワールド・ツアーの先々で入手した約50万ドル（約5,500万円）分のビンテージ楽器を損失してしまったのだそう。

またヒップホップ界においても唯一無二のファッション・センスを誇るブラック・アイド・ピーズ。昨年9月には『Vogue』誌や『GQ』誌などを発 行する大手出版社Conde Nast Media Group主催のファッションと音楽を融合させた一大イベントにビヨンセ、アッシャー、アンドレ3000（アウトキャスト）、メアリー・J.ブライジ、ア リシア・キーズらとともに出演、その後ウィル・アイ・アムは自身のアパレル・ライン“アイ・アム・クロージング”を立ち上げ、毎年ラス・ベガスで2回開催 される世界最大のファッション・フェス＝マジック・ショウにてデビューを果たすという音楽以外のビジネスもスタートしている。彼のラインは、すでにLAは サンタ・モニカの人気セレクト・ショップ「フレッド・シーガル」で販売が始まり、アシュリー・シンプソン、ケリー・オズボーン、コールドプレイのメンバー らが愛着している。

またウィル・アイ・アムはジョン・レジェンドのプロデュースや今年生誕60周年を迎えるボブ・マーリーの数ある名曲のうちのひとつ「アフリカ・ユナ イト」（『サヴァイヴ』収録）のリミックスを未亡人リタ・マーリーからの強い依頼を受け手掛けるなどBEPだけにとどまらない能力をも引き続き発揮してい る。なお、この「アフリカ・ユナイト」はAppleのiTunes Music Storeにてエクスクルーシヴ販売され、収益の一部をボブ・マーリー基金、リタ・マーリー基金、ウィル・アイ・アム基金に寄付される。

そのウィル・アイ・アム基金とは、スマトラ地震による津波被害救済の一環を担う、マレーシアのNPO（非営利団体）Force of Natureと共同して仮説住宅を提供する活動を目的としたもの。フージーズ再結成（ローリン・ヒルとワイクリフ・ジョン）で話題になった津波犠牲者支援 チャリティ・コンサートにブラック・アイド・ピーズとして出演した際、現地を視察したウィルが、その惨事を目の当たりにしたウィルがこの基金を立ち上げて いる。

ハイ・センス、ハイ・ポップなボーダーレス・ミュージック探求者BEP。 2年を費やして完成させた本作で、遂に国境、ジャンル、人類までをも越えた“超熟ポップ”を完成。