アンドリス・ネルソンスとウィーン・フィルがベートーヴェンの交響曲全曲をDGに録音すると発表
理想的なパートナーシップ
ドイツ・グラモフォンとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、アンドリス・ネルソンス指揮による重要な録音計画を通じて、これまで長く称賛を浴びてきた協力関係をいっそう深めることになった。
アンドリス・ネルソンスとウィーン・フィルハーモニーは、今後4年間のあいだに、ベートーヴェンの交響曲9曲の全曲録音をおこなう予定である。この録音は、名声の高いラトヴィアの指揮者とドイツ・グラモフォンとの専属契約の一環としておこなわれる。この企画ではハイライトとして、作曲家の生誕250周年にあたる2020年に、ウィーンにおける全曲演奏も予定されている。
ウィーン・フィルハーモニーの楽団長であるアンドレアス・グロスバウアーも、この新たなベートーヴェンの企画を歓迎している。「私たちは、録音に関して深い経験と高い技術力をそなえたドイツ・グラモフォンとのパートナーシップを、大いに歓迎しています。そしてベートーヴェンの交響曲全曲をアンドリス・ネルソンスと録音できるという新たな企画を、心から楽しみにしています」と、彼は語っている。「これは数年にまたがる計画であり、ベートーヴェンの生誕250周年にあたる2020年までに終了の予定です。というわけでその内容は、私たちとマエストロ・ネルソンスとの芸術的な結びつきの深まりが反映されたものになるでしょう」
「グラモフォン・レーベルとウィーン・フィルとの、ダイナミックで深い協力関係は、すでに半世紀近く続いています」と、ドイツ・グラモフォンのクレメンス・トラウトマン社長は語っている。「なんと1924年に、早くも数種類の録音がなされたのです。このたぐいまれな協力関係の歴史が、今回のベートーヴェンの新企画でさらに強固なものになろうとしています。この企画には今後数か月、あるいは数年のあいだに、べつの重要な録音も加わることになるでしょう。アンドリス・ネルソンスは現代における最も輝かしい音楽家の一人であり、その高い知性とすぐれた直感力は、世界中のファンを魅了しています。ウィーン・フィルハーモニーとともにベートーヴェンの交響曲全集を完成させるという彼の旅に寄り添えることは、グラモフォン・レーベルにとって、測り知れない名誉です」
ネルソンスは2010年10月にウィーン・フィルにデビューして以来、このオーケストラにとってはおなじみの客演指揮者であり、ともにヨーロッパ、日本、アメリカへツアーをおこなってきた。今年の1月には、待望久しいベートーヴェンのライブ録音も開始され、その筆頭がウィーン楽友協会ホールで演奏された《英雄》交響曲だった。ネルソンスは2017年3月に《田園》交響曲でウィーン・フィルを指揮するほか、2019年までは毎年ウィーンにもどって残りの交響曲を演奏し、録音する予定である。
ネルソンスについて、ロンドンの「フィナンシャル・タイムズ」紙は最近、つぎのような賛辞を載せた。「彼は楽譜のあらゆる音符に生命と推進力をみなぎらせることができる、希有な才能の持主である」そして彼はまた、いかなる演奏でも細部にいたるまで綿密な準備を欠かさない。明確な構想力、燃えるような激しさ、ドラマチックな緩急のうねりも、彼の指揮の魅力である。「ドイツ・グラモフォンとベートーヴェンの交響曲の全曲録音を、170年前の設立以来この交響曲群と密接に関わってきたオーケストラと組んで実現できるのは、私にとって最高の名誉です」と、アンドリス・ネルソンスは語っている。「ウィーン・フィルハーモニーの奏者たちにとって、ベートーヴェンはすでに血となり肉となっているため、彼らは伝統の神髄をすぐれた芸術的解放感や冒険心に結びつけることができます。そしてベートーヴェンの交響曲を新鮮に、生き生きと演奏し、どの作品にも生まれたてのような命をあたえることができるのです」
左から右: ハラルド・クルムペック(ウィーン・フィルのジェネラル・マネージャー)、アンドレアス・グロスバウアー(ウィーン・フィルのチェアマン)、Dr.クレメンス・トラウトマン(ドイツ・グラモフォン社長)