インタビュー・レポート到着!
LA在住エンタテーメント・ライター/翻訳家のD姐によるインタビュー・レポートが到着!
超多忙なスケジュールの合間を縫って特別にインタビュー取材に応じたボチェッリが新作アルバムに対する想いを語ってくれました。
アンドレア・ボチェッリ インタビュー
オペラ界のスーパースターであり、ポップ・ミュージックを融合させたクラシカル・クロスオーヴァーの先駆者として音楽界のアイコンでもあるアンドレア・ボチェッリの新作『Sì』(邦題:『Sì~君に捧げる愛の歌』)が、10月26日に世界同時発売されると発表された。全曲オリジナルのアルバムとしては14年ぶりとなるこの新作『Sì』の発売を待ちわびる、たくさんの日本のファンのためにアンドレアが特別にインタビュー取材に応じ、新曲や日本への思いを語ってくれた。
アンドレアは、ハリウッド・ボウルで1万7500人の観客を集めたソールド・アウト公演と米ABCテレビの人気トーク番組『ジミー・キンメル・ライブ』でのゲスト・パフォーマンスを控えてロサンゼルスに滞在していた。取材は世界でも最も高級志向の人々が集まる街・ビバリーヒルズにあり、アンドレアの故郷であるイタリア・トスカーナ地方のヴィラを彷彿とさせる最高級のラグジュアリーホテルとして名高い五つ星ホテルの一室で行われた。
取材現場に現れた濃紺のデニムにブレザー姿のアンドレアは、思わずハッとするほどスタイリッシュで、まるでランウェイを歩くモデルのよう。身長は187cmということだが、高身長でスリムというだけではなく、滲み出るエレガンスさとソフィスティケートされた雰囲気が漂う。マネージャーでもあるゴージャスな妻ヴェロニカさんが同伴されていたが、12歳という年齢差を感じさせないお似合いのご夫婦で、ため息が出るほど素敵なカップルだった。
私が日本人ということでアンドレアは「こんにちわ」と声をかけてくださり、リラックスした雰囲気でインタビューはスタート。日本でいつか時間があったら素晴らしい歌声のシンガーを発掘してみたい、という発言が印象的だった。今まで数々の日本の歌手とも共演し、日本には世界的テナー歌手のアンドレアを唸らせる歌手がいる、という彼の確信でもあり、将来的に本当に実現してもらいたいと思う。
ところで取材現場に向かう途中のエレベーターでたまたま6歳の娘さん、ヴァージニアちゃんと遭遇した。歌もダンスも上手だそうで、そういえば英語とイタリア語で話をしていたバイリンガルでもあった。アンドレアのビデオにも出演しているが、実際にもとびきりにかわいくて愛くるしかった。いずれ父と共演、父のようにスーパースターになるのだろうか。アンドレアの新作は、家族や愛、人生の大切さを感じさせられるアルバムになるとのことで、今から発売が楽しみだ。
【インタビュー】
本日はお時間をいただきましてありがとうございます。まず最初に日本や日本のファンに関しての質問をさせてください。
複数回の来日経験があるボチェッリさんの日本の好きな点や日本の観客の印象を教えてください。
私は今まで日本を訪れる多くの機会に恵まれましたが、残念なことに、いつも仕事での来日です。つまり、私が日本で訪れたことがあるのは大都市だけなんです。特に東京ですね。ですから、日本の伝統を十分に学んだり、日本の皆さんと接する機会がほとんどありませんでした。ですから日本の文化にのめり込むことができませんでした。日本には素晴らしい文化と精神性があると伺っていますので、今度ぜひ理解を深めたいと思ってます。
今回のアルバムで特に日本のファンに聴いてもらいたい曲はありますか?
今回のニューアルバムに関して、12曲ほど収録されていますが、どれも私が塾考して厳選した曲ばかりなんです。選曲するのに10年かかりました。そして最後のオリジナルアルバムを発売してから14年が経ちました。ファンの皆さんに聞いてもらいたい新しい曲を見つけるのは、本当に容易いことではないんです。今回のアルバムに収録された曲を日本の皆さんに気に入ってもらえればと思います。全ての曲を楽しんでいただきたいです。私にとって曲それぞれが、私の子供のようなものなんです。子供に全ての時間を捧げ、そして自らを犠牲にし、気にかけて、深く知る、等といったことをしてあげて、そんな私に彼らが抱いた思いを、今度は彼らが私に与えてくれるのです。
日本人に共通している声の特性や、日本人アーティストとデュエットする際に心がけていること、感じていることがあったら教えてください。
私が言えることは、日本のアーティストの皆さんは情熱に満ちていて、これは特にオペラ的な歌唱をするアーティストの方に言えることだと思います。たくさんのシンガーの皆さんが、日本や韓国、中国からイタリアに来て声楽を学んだり、観に来たりしています。みなさん、素晴らしい歌唱力の持ち主です。
ミュージシャン以外でも、コラボレーションしてみたい日本人アーティストはいらっしゃいますか?
世界中に素晴らしいシンガーがたくさんいます。私は歌唱力のある人が大好きです。私が日本に滞在している間に時間があったら、素晴らしい歌声のシンガーを日本で発掘したいですね。是非、私自身でやってみたいです。
2020年の東京オリンピックに向けて、国内でも日本の良さを再発見しようとする動きがあります。日本の伝統文化、文学、音楽、スポーツなどでご興味を持っていることはありますか?
僕はスポーツが大好きなんです。スポーツは音楽と同様に、イタリアだとか日本だとか中国だとか関係なく、「スポーツ」なんです。スポーツの中では特にサッカーが好きですね。僕はイタリア人ですから(笑)。他にもボクシングや陸上が好きです。自分でするとしたら、特に乗馬が好きです。馬が好きなんです。僕は田園地方で生まれ育ちましたから。自分でやるスポーツとしては乗馬が好きです。
今回のアルバムのテーマは「愛」で、それは「人生」「家族」といった人との繋がりが原動力になっていると伺っております。
『Sì』は今まで作って来たことのないアルバムになりました。音楽を超えたものを伝えようと思いました。オーディエンスの皆さんに今まで全く聴いたことのない新しい音楽を届けたいと思ったんです。
このアルバムの曲は全てオリジナルで構成されていますが、収録曲が新曲というだけではなくて、今までに聴いたことのない、未発掘の曲だということです。現代では誰も聴いたことのない、演奏したことのない曲を探し出し、明確にすると言うことは非常に困難なことなんです。なぜならば、今までにすでに幾千万もの曲が書かれ、歌われて来ているからです。だから誰も聴いたことがなくて、なおかつ自分の特徴に沿った新しい曲を見つけることは、宝探しのようなものなのです。ですから僕は12の宝に出会えたと信じています。実際には17曲がデラックス盤に収録されてますから、17の宝ということになるでしょうか。
近年、日本は核家族化が進み、独身で過ごす人も多いのですが、このアルバムを通して日本の私達に伝えたいメッセージはありますか?
私は今ここでメッセージを語ることはしたくありません。音楽を聴いて欲しいのです。音楽は聴くためにあるのです。音楽で伝えたいことは、語る必要はありません。語られた言葉の多くは間違って伝わったり、意図的に構築されていたりするものなのです。一方で音楽は、感情やメッセージなどを伝えますが、それは間違えようのない真実であり、誤って理解されることもありません。音楽は透明なものなんです。それはライブパフォーマンスでもそうでなくても、音楽がそうであることに変わりはありません。
では新作からのシングル「If Only」(邦題:「イフ・オンリー ~愛しいあなたへ」)は非常に美しく、神々しい曲だと思いますが、この曲を歌われるときには、どんな思いを込めて歌われているのですか?
この曲をライブでもレコードでも聴いてくださる方には、明るさやほんの少しの楽観的な気持ち、そして再生と生きることへの希望というものを感じてもらえればいいと願っています。
新作のタイトルになっている「Sì」は、英語だと「イエス」と言うことですよね。
イエスというのは素晴らしい言葉です。たくさんの候補があって色々と試行錯誤しても決まらなかったのですが、息子のアモスがこの言葉をアルバムのタイトルにしたらとアイデアを出してくれました。私が思うに、この言葉は時代を象徴していると思うのです。つまり全ての人々が最初に言うべき言葉だからです。例えば最初のキスをするときだったり、手をつなぎたいと思ったときに、答えてほしい最初の言葉でなんです。何か同意やお願い事をするときは、必ずみんな「イエス」を求めているんです。それなのに、私たちは「ノー」を言い過ぎているのです。私たちが本当に言うべき言葉は「Sì=イエス」なんです。「Sì=イエス」と言う言葉が、今私たちには必要なんです。
今作ではピンク・フロイドなど数々のビッグネームを手がけた伝説的なプロデューサーのボブ・エズリンを迎えていますが、彼を起用したのは、どんな理由がありましたか?
彼と仕事ができて本当に幸運でした。まず彼と会ってみて、プロデューサーとしてうまくいくかどうかと言うことでしたが、答えはSi(イエス)でした。アルバムのタイトルのようにね。私たちの仕事はとても素晴らしく上手くいきました。
最近ではエド・シーランとのウェンブリースタジアムでのライブも話題になりましたが、大小様々なヴェニューだったり、ローマ教皇の前でのライブだったりといろいろな体験をされてきたボチェッリさんが、最も印象に残っているライブはなんでしょうか。
全てのパフォーマンスの経験がそれぞれ違って思い出があります。どれが一番思い出深いかと言うのは、答えるのが非常に難しいですね。なぜなら私は3代のローマ教皇の前でパフォーマンスをし、数々の大統領の前でもパフォーマンスしました。さらには恵まれない子供たちや孤児のためにもパフォーマンスをしました。でももっとも思い出深いものを選ばなければならないと言うのであれば、非現実的で並外れて素晴らしかったと言う点と大変だったと言うこともあって、セントラルパークでの公演になります。
それでは、このアルバムを制作するにあたって、一番大変だったことはなんですか?
この答えは簡単です。一番難しかったのは、私が歌いたい曲を見つけることでしたね。(笑)
そうですか。本日はどうもありがとうございました。最後に日本のファンの皆さんにメッセージをいただけますでしょうか?
「私のニューアルバム『Sì』を是非、聞いてください。もしあなたが「イエス」(=Sì)と答えてくれたら、私は「アリガトウ、アリガトウ、アリガトウ」とお返事します(笑)」
D姐
LA在住エンタテーメント・ライター/翻訳家。
米国ハリウッド在住。セレブやエンターテイメント業界のニュースを独自の切り口で紹介する、アクセス総数5億ページ超の大人気サイト『ABC振興会』を運営。多数のメディアで音楽やセレブに関する執筆、現地ロサンゼルスでのテレビやラジオ、雑誌用のセレブやアーティストのインタビューやレッドカーペット等の取材をこなす。
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