BIOGRAPHY
ANBERLIN
ヴォーカル: スティーヴ・クリチャン/Stephen Christian
ギター: ジョセフ・ミリガン/ Joseph Milligan,
ベース: デオン・レクスロート/ Deon Rexroat,
ドラム: ネイサン・ヤング/ Nathan Young
ギター: クリスチャン・マッカルハニー/ Christian McAlhaney
今時のように瞬時にダウンロードが出来、すぐに文化が取り入れられる中で、アンバーリンのようなバンドは、貴重な存在なのかもしれない。6年間で4作を手掛け(昨年のB-sideコンピレーション『ロスト・ソングス』を含む)、特定のシーンやサウンドに限定されずにバンドは成功を収めた。また、オルタナティブ・ロックの中でも最もエキサイティングなグループの一つとしてその地位を確立した。ビルボードTop20にランクインし、リリース週に34,000枚のセールスを誇ったアルバム『シティーズ』で彼ら自身がもし変わっていたとしたら、この『ニュー・サレンダー』は、そのサウンドを更に超越しているアルバムと言えるだろう。実際、この最新作は、眠りを誘うような優しいハーモニーから、ヤバめのシェイクやガチガチのディストーションが効いたロックなど、一見バラバラになっているサウンドをうまく調和した作品となっている。
こうしたダイナミックさは、厳しい耳を持ったファンの心をすぐさま掴んだ2003年のデビュー作『ブループリンツ・フォー・ザ・ブラック・マーケット』以来、アンバーリンの音楽を具現化し続けている。また、アルバムのプロモーションの為に、フォール・アウト・ボーイやマイ・ケミカル・ロマンスと共にツアーをしたことも決して無駄ではなかったのだ。
文字通り数百回ものショーを経て、ミュージシャンとして、また人間として成長した後、2ndアルバム『ネヴァー・テイク・フレンドシップ・パーソナル』を2005年にリリース。音的にもリリック的にも成長し、アンバーリンはアンダーグランドの壁を越え、バンドの限りない可能性を証明した。この現象は昨年のメインストリームのヒット作『シティーズ』でも同様に見られ、バンドが更に成長し、音楽的ビジョンも飛躍的に広がったことがわかる。
この全ての背景が『ニュー・サレンダー』に繋がっているのだ。
アルバムには、ファンが好むアンバーリン・サウンドも含まれているが、バンドにとって次のステップとなるような要素も含まれている。例えば、プロデューサー/友人であるアーロン・スプリンクルと長年作業をした後、バンドは独自のサウンドを追求するために、伝説的なプロデューサーのニール・アブロン(フォール・アウト・ボーイ、イエローカード、ニュー・ファウンド・グローリー)の協力を得ることを決めた。さらに、インディ・レーベル’トゥース&ネイル’からアルバムをリリースし、435,000枚のセールスを得た後、バンドは『ニュー・サレンダー』でメジャーにステップアップするベキだと確信したのだった。様々なメジャー・レーベルからアプローチがあった中、バンドはユニバーサル・リパブリックと契約することを決意。”トゥース&ネイルでは、目に見えない障害があったというか、俺たちが届けたい全ての人たちに俺たちの音楽が伝わらなかったんだ”、とスティーヴがレーベル変更について説明する。”俺たちにとってユニバーサル・リパブリックは、騒然とした音楽の時代の中での安定を意味しているんだ。スタッフもレーベルもいつもそばにいてくれるし、多くの人に伝わるように、何度もトライしてくれて、それが俺らが属しているところであって、、、みんなの中に俺らがきちんと存在している、ということを示してくれているんだ”
“アルバムは、誰もが人生の中で諦めなければならない何かがあるという認識、つまり、現代の諦めというテーマが概念化されているんだ”、と最新アルバムのタイトルについてステファンが答える。”僕らがどういう人間になれる可能性があるのかというところから始まっていて、どの曲も最終的には人なのか悪なのかという人生の諦めに繋がっている感じなんだ”。このアイデアを得る為に、ギターのジョセフ・ミリガン、ベーシのデオン・レクスロート、ドラムのネイサン・ヤングや新メンバーで前アクセプタンスのギターリスト、クリスチャン・マッカルハニーは、アイヴロンと3ヶ月スタジオにこもり、今までで最高の力作を作り上げた。
実際、カタルシスでメロディックな”ブレイキング”や、もうじきサマータイム・アンセムとなる”ヘイト・ストリート”やアコースティックなバラード”ヤングライフ”など、『ニュー・サレンダー』は、バンドにとって最もバラエティに富んだアルバムとなっている。メンバーをさらに結束させ、作詞においても不可欠な存在となったマッカルハニーを新メンバーとして加えたことは、バンドにとっては大きなことだった。”すごくしっくりきているんだ”、13年間共に作詞をしているスティーヴとミリガンのソングライティング・チームに入ったことについて質問をされたマッカルハニーが答えた。”トライアルの期間は全くなくて、もうやっちゃったという感じ”、彼は続ける。”アイデアを誰かにバウンス出来るから本当によかったよ”、『ニュー・サレンダー』が今までで最強のアルバムだと確信していることを付け加えながらミリガンは語る。
二人のギターリストのスタイルは全く違うが、『ニュー・サレンダー』ではリズム的にもメロディー的にも完璧に補いあっている。そしてこの音の相互作用は、既にパワフルなアンバーリンのサウンドに、新しい深みを加えている。さらに、この新しいパワーは、ギターだけではなく、ファルセット満載の”リトレース”や舞い上がるようなオペラ風のバラード”ブリーズ”のように、まるで神の域に達しているようなスティーヴのボーカルにまで及んでいる。”ニール(アヴロン)は、本当に厳しかったよ”、アルバムのボーカル部分はスタジオの自動チューニングなどのトリックに一切頼らずに、全て生で歌ったことに触れながらスティーヴが説明する。この型破りな方法で、製作時間こそはかかったが、結果として、最強のフロントマンの一人として成長し、レンジも更に広がったボーカル・パフォーマンスに仕上がった。
『ニュー・サレンダー』はまた、バンドの支援活動をリリックに織り込んだ最初のアルバムとも言える。それは、例えばエイズ予防に関してケニアに教えに行ったり、インドのカルカッタへ行き、人身売買の危険に関して人々に教育をしたことを含んでいる。”今俺はロスに住んでいるんだけど、ホームレスのことについて”ディサピアー”という曲を書いたんだ。ホームレスを見かけるのが普通のことになっているという視点からね”、スティーヴが詳しく説明する。”それから”バーン・アウト・ブライター”という曲は、無欲に生きることについての曲なんだけど、リリックではこう言ってるんだ。”誰かのために生きて死にたい
/ 生きれば生きるほど、この世は自分にはあっていないと感じる'”、と彼は付け加える。”ファン達も、ただ’Oh
girl、君の手を握りたいんだ’的な曲だけを聴くんじゃなくて、リリック的にこのレベルまでこれたのが本当に嬉しいんだ”。アンバーリンのファンの協力的な姿勢こそがアーティストとして成長させ、作詞のレベルを上げてくれたのだと触れながら答える。
しかし、バンドは、『ニュー・サレンダー』は分析されるのではなく、聴かれるベキだと強調する。”フィール・グッド・ドラッグ”のような癖になりそうな曲はあまりにもハマってしまい、リスナー達もアンバーリンのサウンドがどう分析されるか心配する暇もないだろう。
“ある意味、みんな最近は音楽にそこまで愛着を持っていないんじゃないかな”、音楽が我々の日常生活に非常に密着し、元々抱いていた情熱を簡単に忘れてしまうほど偏在していることを述べながらスティーヴが言う。”この作品にみんなが参加しているような気分になって欲しいんだ。これはみんなの作品だし、そう思って欲しいんだ”、と彼は説明する。”『ニュー・サレンダー』の1曲だけが心に残るんじゃないといいけど”、彼はまとめる。”12曲全部がみんなの人生の一部になって欲しいと本当に思っている”。