3月8日リリースのライヴDVD『Zepp Tour 2016 ~FLYING B~』を語る。~オフィシャル・インタヴュー 前編。
AK-69が3月8日リリースとなるライヴDVD『Zepp Tour 2016 ~FLYING B~』を語りつくします。今回はその前編。後編は3月7日(火)に公開です。
【AK-69 オフィシャル・インタヴュー前編】
◯今回リリースされるライヴDVD『Zepp Tour 2016 ~FLYING B~』ですが、タイトル通り2016年に東京/名古屋/大阪で行われたZEPPツアーが映像の中心になっています。今回「ホール」ではなく、「ライヴハウス」であるZEPPを会場に選んだ理由は?
「自分が代表を務める「Flying B Entertainment Inc.」を立ち上げてから一発目のライヴは、同じようにライヴハウスである豊洲PITでやったんですよね。そこで得た手応えの延長上という部分もあるけど、もう一つには、今までで記憶に残っているライヴの中の一つに、初めてのZEPPワンマンがあるんですよね。その後には武道館やガイシホールっていうもっと大きい規模のライヴがあるけど、やはりZEPPという規模で初めてワンマンが出来た時に「ここまで来れたか」って感慨があったし、印象深くて。その意味でもDEF JAMへの移籍を含めて、新しい動きを始めるタイミングでは、もう一度その気持ちを思い出す事のできる場所で、ライヴをやる事も必要だと思ったんですよね」
◯ライヴハウスというシンプルな場所であると同時に、映像の中のAKさんの格好も、無地のTシャツにディッキーズのパンツ、ナイキのコルテッツというスゴくシンプルな格好ですね。
「活動を始めた頃の格好ですね。あの格好が俺のスタートだった」
◯ただしその当時との大きな違いは、DEF JAMのマークが刻まれたゴールドのメダリオンが首から下げられてる事だと思います。
「メダリオンやキロチェーンは、俺が活動の中で今までに得てきた、血と汗と涙の結晶なんですよね。それは同時に今はDEF JAMの看板という非常に重いものを背負っているという事の証明でもある。そしてそれを身に着けることは、ヒップホップっていうレベル・ミュージックにやられたタダのガキが、ここまでなれるっていう事の証明なんですよ。俺もお前らと同じように、選ばれた人間でも、特別な存在でも無かった。道も踏み外したこともあった。その意味でも“FLYING B”で歌ってるように、「負けを重ねたB級」だったんですよね、俺は」
◯そして、そこから「FLYING B」になっていったと。
「はみ出し者が一つの事を思い続けて、努力を重ねたことで、こういう存在になれた。メダリオンやキロチェーンはその証なんですよね。だから「どうだ、このアクセサリースゲえだろ」って自慢したいんじゃなくて、俺はお前らと同じ所から来てるし、キロチェーンを付けられるまでになった、俺の歴史やドラマを分かって欲しいってことなんですよ。ここで本当に見せたいのは、ここに至るまでの「中身」なんですよね」
◯ライヴの演出自体も大掛かりなものではなく、AKさんやダンサーのパフォーマンスが中心になっていました。その意味でも非常に肉体性や「生身」を感じる構成であり、シンプルで削ぎ落とした表現からは、ライヴでしか感じられない「凄味」を感じました。このツアーに続いてリリースされたアルバム『DAWN』がそれと同じように「生身のAK−69」を表現したものだった事も含めて、非常に「さらけ出したアプローチ」が印象に残りました。
「だから正直、ガイシホールや武道館のライヴDVDに比べるとシンプルすぎる内容にはなってると思いますね。だけど、この「原点回帰」を見せることこそが大事だと思うし、そこに意味があるだろうなって。その意味でも、2016年は事務所の立ち上げやDEF JAMとの契約、『DAWN』の制作など、自分の内面や原点、そこからのドラマを提示する部分が強かったと思います」
◯そういったアプローチを提示したのは?
「「インディペンデント・キング」であり、インディーズに拘ってたAK-69が、DEF JAMというメジャーとディールした事について、「なぜだろう」って思うコアなリスナーだったり、今まで俺のアティテュードについて来てくれたオーディエンスに対して、その行動の説明をする必要があると思ったし、その説明が出来ないと、活動は進められないなって」
◯ファンやリスナーとの信頼関係としても、説明責任を果たして、行動の理由を明らかにする手続きとしても必要だったと。
「そうですね。それが今回のツアーでは果たせたと思います。だから「なんでだよ」って事は誰も言わなかったですし、この動きは間違ってなかったのかなって。ただ名前を売ればいい、注目される事をやればいいっていうんだったら、順序も方向性も、ファンとの関係性も無視して、有効そうな事を詰め込んでいけばいい。だけど、それは俺には出来ないんですよ。俺はそういう人間ではないし、やはり順序と筋道を通して、ドラマをリスナーと共有したい。そして、それを進める事で「AK-69の音楽/ヒップホップの意味」がちゃんと生まれると思う」
(後編に続く)
インタヴュー:高木 “JET” 晋一郎◇TAKAGI “JET” Shin-ichiro