<ライブレポート>元RCサクセションのキーボーディストgee2wo&ナナマリのユニット「7g classic’s」アルバム配信記念ライブ
元RCサクセションのキーボーディストgee2woと、ギター/べース/ボーカルのナナマリによるユニット「7g classic’s(ナナグラム・クラシックス)」が10月22日(土)東京・池袋のジャズクラブApple Jumpでライブを行った。
彼らの活動のペースは長野県と山梨県だが、今回は大阪、名古屋と各地のライブハウスを遠征し、その東京編としてライブが行われた。
gee2woは1990年にRCサクセションを脱退した後は、音楽活動は続けるも、公の場やメディアに姿を現すことは殆どなかったが、今回の全国ツアーで本格的にステージに戻ってきた形だ。
7g classic’sの音楽はボサノバをべースにしながらもショーロ、ブルース、フォーク、ロックなどが楽しく絡み合い、無国籍、ジャンルレスなテイストを醸し出している。ナナマリの弾くリラックス・フレイバーのガットギターに、時には透き通り、時には力強いgee2woのピアノが絶妙に絡む。その上に乗るナナマリのウィスパーボイスは飾りがなく無垢だからこそ強い説得力を持っている。
歌詞の中で描かれているのは、何気ない日常の中に潜んでいるギミックのない素朴な真実。彼らのアルバム「くろすけ」のタイトルチューン「くろすけ」は、gee2woの長野の山中にあるプライベートスタジオのベランダに時々現れる黒猫「くろすけ」が主人公。自分の名前の「くろ」には納得しつつも、「すけ」とはなんだろうと悩みながらも、生きる命の大切さ尊さ儚さに想いを馳せるという楽曲。「ぼくボサノバ君」はボサノバを主人公に、どこで生まれたどんな音楽かを自己紹介してゆくという内容のユニークな楽曲。それだけではなく、「上書き消去」や「雨粒」「はじめてのうそ」などのラブソングも温かく切なく心地よい。
どれもナナマリの飾りのない視点の中に、真実とユーモアが滲み出ている名曲揃いだ。
当日は2部構成で、オリジナル曲とTVアニメ「はじめ人間ギャートルズ」のテーマ「やつらの足音のバラード」、「たま」の名曲「さよなら人類」などのカバー曲も含め全17曲を披露。アンコールの「image」は自分の感性に正直に生きる人達への美しい応援歌だ。
彼らのファーストアルバム「くろすけ」から5曲を抽出したミニアルバム「プチくろすけ」がライブ当日の10月22日からデジタル配信されている。静かな秋の夜長にぴったりなアルバムだ。
ぜひCDでと言いたいところだが、手軽なサブスクリプションサービスでも7g classic’sの音楽に触れて、ライブに足を運んでほしいとナナマリは語る。
翌日の下北沢ラカーニャでのライブで今回のツアーは一段落だが、また今後の彼らの活動に期待したい。
7g classic’s 「プチくろすけ」
「くろすけ」特設サイト:https://nanamari.com/cdkurosuke