フレディのうたう新曲をフィーチャーした新作『クイーン・フォーエヴァー~ベスト・オブ・ラヴソングス』遂に発売!この発売を記念し、なんとクイーンのギタリスト、ブライアン・メイのインタビューを実施。貴重なインタビューを前編/後編に分けてお届けします!是非、お楽しみください。
★2014年11月3日@LAでのインタビュー
後編 2014.11. 20UP
クイーン - ブライアン・メイが最新作を語る(2)
http://youtu.be/m0rSQvBQVyE
Q:(<Love Kills>はフレディのソロとして発表された曲ですね?)
B:曲を聴くと、「別のアレンジにしてみたらおもしろいんじゃないか?」というアイデアが思いつくことがあるんだ。この曲は、もともとフレディがディスコ・トラックとして素早く書き上げたものだった。当時私たちもこの曲で演奏したんだけど、別のプロジェクトのためだった。映画「Metropolis」のサウンドトラック用の曲だったんだ。この曲はサウンドトラックを手がけていたジョルジオ・モローダーがプロデュースしたんだ。フレディが書いた曲だから、彼の曲なんだけど、彼は素早く書き上げて、サントラに収録されることになった。オリジナル・バージョンはストレートなディスコなんだけど、アップテンポな曲だから、一見あまり歌詞に情熱や内省的な要素がないように思えたんだ。クィーン・バージョンを作るアイデアはどこからきたか覚えてないんだ。おそらくマネージャーが思いついたアイデアだったと思う。でも私はジムと話して、ボーカルをバッキング・トラックと別々にすれば、もしかしたらバラード調の曲に仕上げられるかもしれない、と提案したんだ。でも技術的な問題が起きるんじゃないかと思っていたんだ。フレディがボーカルをレコーディングしたときに、ヘッドホンからクリックやスネア・ドラムの音が漏れているかと思ったから、実現できないかもしれないと予想していたんだ。実際にマルチ・トラックを入手してPro Toolsに移したら、フレディのボーカルが完璧に綺麗な状態だったんだ。あの曲でのフレディは本当に美しい歌声を披露していた。バッキング・トラックがない状態で彼の歌声を聴いた瞬間、バラードに仕上げられると確信したんだ。アカペラを聴いたときに深く感動したんだよ。そのときに改めて、フレディは何でもいいから曲を作るためにレコーディングすることはなかった、ということを気づかされた。彼が曲を作るときは、何か伝えたい気持ちがあるからなんだ。
“Love Kills”というのはとてもパワフルなコンセプトなんだよ。彼がこの曲で歌っている歌詞内容は真実だと思う。愛というのは、美しくて、喜ばしくて、ハッピーな感情というイメージがあるけど、本当に誰かを愛するときは、苦しいことも多いんだ。だから、愛は人を殺せるんだよ。そういう意味でもこの曲の歌詞を聴いて共感したし、バラード調にアレンジしてみたくなった。そこで、フレディの歌声を中心に新たなアレンジを私が作り上げたんだ。現在スタジオの中で様々なことができるから驚かされるよ。ほんのちょっとだけフレーズを変えたり、微妙に音程を調整することで、歌詞の意味まで変わってくるんだ。そこに様々なコードを重ねたんだ。新しいアレンジをロジャーに聴かせたら、彼も気に入ってくれたんだ。ロジャーはディスコ・バージョンの半分のテンポでドラムを叩いてくれたんだ。それを聴いたときは、「これだ!」って思ったよ。この曲を聴いた人から、「フレディが作曲した曲だなんて知らなかった」という意見が多いんだ。彼はこの曲を書いたんだけど、もともと別のスタイルでリリースされたから、聴こえ方が全然違うんだ。この曲はとても気に入っているよ。
ツアーでは、アダム・ランバートが歌ってくれて、彼にぴったりの曲だから上手くいっているよ。アダムは色々な意味でフレディに似ているんだ。でも、アダムはフレディの真似をする必要がないし、そこがアダムの素晴らしいところなんだ。彼はフレディを真似せずに、自分らしく表現しているんだ。
Q:(フレディ・マーキュリーとはどういう存在でしたか?)
B:もちろん、フレディは兄弟のような存在だった。彼とのパートナーシップは、当時のそれぞれのメンバーの結婚よりも長続きした。彼とはとても親密な関係だったよ。だから、フレディが亡くなったときは、彼の死を乗り越えることが本当に大変だった。彼の死は、メンバー全員の心に大きな打撃を与えたよ。私たちは全員、長い間喪失感に捕われて、彼の死について話すことさえできなかった。そして、もうクィーンと関わりたくないとさえ思うようになってしまった。フレディがいた頃のクィーンは私たちの過去であって、新しい人生を送りたいと思っていた。「私はクィーンの一員であり、クィーンをここまで大きなバンドに成長させられたことに誇りを持っている」と言えるようになるまで、何年もかかったよ。その気持ちにやっとなれたときに、新たな扉が開いたんだ。クィーンの音楽をまだ聴きたがっている人たちがいたからね。そこから、また一緒に演奏できる可能性を探れるようになったんだ。
ロジャーと私が一緒に演奏するときは、何か特別な化学反応が必ず起きるんだ。私たちはあらゆる意味で兄弟みたいな関係だよ。兄弟のようにケンカもするしね(笑)。二人の間にどうしても消せないライバル心みたいなものがあるんだけど、エネルギーもあるんだ。二人のエネルギーが一致すると、何か特別なことが起きるんだよ。一人では生み出せない音楽が生まれるし、二人ともそれを自覚している。私たちは成長して、昔よりもお互いに優しくなれるようになった。ロジャーと私が二人で演奏すると、なんとかクィーンの名前を使えるんだ。もちろん、昔ながらのクィーンではないけれど、二人が演奏すると、クィーンのスピリットが生き続けているんだ。ジョンは引退してメンバーではないし、フレディはもういないけど、私たちが作り上げた歴史は消えない。そして私たちの肉体はまだ存在しているわけだから、音楽を作り続けられるんだ。だから、チャンスがあればまだ音楽を作り続けているんだ。
たまに予想できないようなチャンスがやってくることもある。例えばアダム・ランバートと出会えるなんて予想もしなかったよ。彼はどこからやってきたんだろう?と思うことがある。私たちは彼を探していたわけじゃないけど、知らないうちに彼と演奏していた。驚くべきことに、彼はフレディのメロディを歌うことができるんだよ。クィーンの曲はとても歌いづらいんだ。優れたシンガーであっても、クィーンの曲はレンジがあまりにも幅広くて、歌えない人が多い。でもアダムは楽々とクィーンの曲が歌えるんだ。ライヴでは、アダムはフレディよりも高い音程が出るから凄いよ。フレディがもし生きていてアダムが歌っている姿を見たら、「悔しいけど、こいつなかなかやるな」って思ったに違いないよ(笑)。それに、アダムはステージのプレゼンテーションが優れてるんだ。彼は生まれつきのパフォーマーであって、努力しなくてもオーディエンスを魅了できるんだ。フレディもそうだったんだ。ステージに立って、自然とオーディエンスと心のつながりをもつことができるシンガーというのが世の中にいるわけで、フレディもアダムも間違いなくそれに当てはまるんだよ。バンドにとって、そういうシンガーは重要なんだ。メンバーそれぞれに役割があるんだけど、オーディエンスと繋がるためのリンクが必要なんだ。そういう意味でアダムは素晴らしいよ。
Q: (日本ツアーは?)
B:今のところは予定はないね。アダムと一緒にツアーできるスケジュールが決まっていて、そこから外れてしまうと彼とはしばらくツアーできないんだ。ツアーというのは、なかなか簡単に組めないものなんだ。だから、アダムがソロ・キャリアを再開するとき、しばらく私たちは活動休止することになる。でも今こうやって活動を再開できることは、本当に素晴らしいことだよ。私たちから求めてアダムとのコラボレーションが実現したわけじゃないし、本当はやる必要もないんだ。私たちには別の人生があるし、家庭もあるし、お互いに情熱を注いでいる他の活動がある。でも、またクィーンを世の中に出すチャンスがあれば、必ず私たちにとってやる価値のあることだよ。
Q: (ファンにメッセージを)
B:日本のクィーン・ファンのみんなに会いたいよ!
また日本に戻って会えることを楽しみにしている。今年日本に行って、大阪と東京でライヴができて最高だった。あまりにも短い滞在だったから、近々日本に行ってちゃんとツアーしたいね。日本のファンのことを忘れることはないし、いつだって私たちの心の中にいる。ありがとう!
前編 2014.11. 13UP
クイーン - ブライアン・メイが最新作を語る(1)
http://youtu.be/0UoBHyB-71o
Q:サマーソニック2014の感想は?
ブライアン・メイ(以下 B): 日本に戻れたのは最高だったけど、あまりにも短い滞在だったね。もうちょっと時間があったら良かったんだけど、スケジュールがとても忙しかった。それにとても蒸し暑かったのも印象深いよ。大阪では雨が振ったから大変だった。私はギター・ヒーローと呼ばれているかもしれないけど、雨の中でギター・ソロを演奏するのは楽しくない(笑)。あのコンサートのライヴ映像をちょっと見てみたいね。雨が降っていたから指先がふやけちゃって、いつもと違うライヴになってしまったからなんだ。我慢大会のような状態だったよ(笑)。オーディエンスを楽しませることに集中しないといけなかったし、彼らが見てくれていることを忘れないようにしないといけなかった。そうは言っても、楽しい滞在だったよ。お客さんのレスポンスも素晴らしかったし、楽しいライヴになった。日本は素敵な国だから、もうちょっと観光をする時間が欲しかったね。日本は私たちを成長させてくれた国だったから、もうちょっと滞在したかった。近々日本には戻りたいよ。
Q:短い滞在だったと思いますが、日本でLIVE以外で何か楽しまれましたか? 日本食を楽しんだとか? どこかに観光に行かれたとか?
B:日本では必ず日本食を食べるよ。ただ先ほど話したように、今回は滞在があまりにも短かった。東京では少し時間はあったからおもしろかったよ。私はもう25歳のように遊べないんだ(笑)。昔は一晩中飲んだり食べたりして、その後は朝早くからタワーや庭園の観光をした。今は、ライヴのためにエネルギーを蓄えて、健康を保つことに集中しないといけない。でも今回は新しいタワーを登ることができたよ。スカイツリーだったっけ?あそこはとてもクールだったね。タワーというのは、街の全貌を見渡せるから好きなんだ。東京はとてもエネルギッシュな街だね。常に新しい建物が建設されているし、とても刺激的だよ。だから東京に行くと、視野が広がるんだ。今回はとてもおいしい伝統的な和食を食べることができた。私はベジタリアンだから、精進料理がとても好きなんだ。短かったけど、とても楽しい時間を日本で過ごせたよ。
Q:(『クイーン・フォーエヴァー』について)
B:このアルバムはもともとコンピレーションというコンセプトから始めたんだ。実は結構前から選曲をしていたんだよ。ラヴ・ソングというテーマが出発点だったんだけど、あまり知られていない曲でいながら、聞きやすい曲を集めたかった。みんなで意見をぶつけたりディスカッションをしながら、選曲したんだ。だから、このコンピレーションは、グレイテイスト・ヒッツ集ではないんだ。その上、未発表音源を3曲見つけて収録することができた。実を言うと、未発表音源は4曲見つけたんだけど、そのうち実際に収録されたのは3曲だけだった。それに、みんなが聴いたことがないバージョンの曲も収録されている。3曲の未発表音源については、それぞれ1つのバージョンを収録している。だからこの作品は色々な意味で新しいんだ。どういう意味で新しいか教えてあげようか?
まず始めに、“Let Me In Your Heart Again”という曲を見つけたんだ。この曲は隠されていたわけではなく、実はずっと目の前にあったんだ。この曲は、失われた曲だと思われていたんだけど、実は身近なところにあったんだ。箱に“Let Me In Your Heart Again”に「テイク1, 2, 3, 4, 5」とちゃんと分かりやすく書いてあった(笑)。当時この曲をレコーディングしたとき、どのテイクもしっくりこなくて、音域が広い曲だったから、キーを変えたりもした。フレディは当時、「なぜいつも歌いづらい曲を書くの?」と文句を言われたよ(笑)。だから、何度も構成を変えたんだ。満足の行く出来にならならなかったから、また後で完成させようということで、お蔵入りになった。最近になって音源を見つけたときに、完成させるために、実は十分に素材があることが分かったんだ。4人が一緒に演奏して歌っている曲だから素晴らしいんだよ。みんなで一緒に演奏している音を聴くことができて、心を打たれたよ。Pro Toolsの中でドラムやギターを別々にレコーディングして、つなぎ合わせて作り上げた曲ではないんだ。実際にバンドが一緒に演奏しているから、聴いていて気持ちがいいんだ。クリック・トラックも使っていないし、みんなで直感的に演奏したんだ。Pro Toolsの中で少し作業をして、パーツを切り貼りしてミドル・エイトを作り上げることができた。この曲の制作中に、ちょっとしたミラクルが起きたんだ。ミドル・エイトのバージョンが2つあったんだけど、なぜか頭の中で、その二つをリンクさせたらいいんじゃないかというアイデアを思いついたんだ。メンバーが一緒に演奏している曲が完成したわけだが、あまり手をつけなくても完成した。バッキング・ボーカルとギターを少し加えただけで、殆どが1984年当時のままだ。ずっと失ったと思っていた曲が発見できたので、この曲が完成したときは興奮したよ。
Q:<Let Me In Your Heart Again>はあなたの作品ですね?
B:そう、この曲は当時私が書いたんだ。
Q:レディオ・ガガやブレイク・フリーと同時期に録音を?
B: そう、この曲は当時私が書いたんだ。確か同時期だったね。ここロサンジェルスでレコーディングしたんだ。 昔のレコード・プラントというスタジオでレコーディングしたんだ。
Q:なぜこの素晴らしい曲がお蔵入りに?
B:レコーディングしているときに上手くいかないときは、お蔵入りにするしかないんだ。どんなに作業してもしっくりこないし、限界だと思ったんだ。また後でその曲に戻って、作業を再開しようと思っていたんだけど、忙しくしているうちに再開できなくなってしまうんだ。
この曲のメッセージは何かって?失われた愛についての曲だよ。そして、その愛をまた見つけようとしていることについてなんだ。
Q:「生命の証(There Must Be More To Life Than This)」が生まれた経緯は?
B:“生命の証”は、フレディがクィーンの曲として作るために、持ち込んだ曲としてスタートしたんだ。バッキング・トラックでは、フレディがピアノ、私がギター、ロジャーがドラム、ジョンがベースを演奏しているから、昔ながらのメンバーだ。この曲も当時完成されなかった。悪くなかったんだけど、まだいくつか要素を追加しないといけないと完成できないと思っていたんだ。そのプロセスの最中に、フレディがマイケル・ジャクソンに会いに行ったんだ。二人は、「この曲を試してみよう」ということになったんだ。彼らは他にもいくつかの曲を試したみたいだよ。でもこの曲では、テープを回しながら、マイケルが曲を覚えていったんだ。だから音源を聞き返すと、曲が発展していく様子が分かって興味深かかった。二人が一緒に歌っている箇所もたくさん入っている。二人はディスカッションしてこの曲を作り上げたんだ。この曲のラフ・ミックスがカセットに入っていたので、この曲が存在していたことは知っていた。音質はとても悪かったけどね。でも、二人がレコーディングしたオリジナルのマルチ・トラック音源を発掘することができたんだ。マイケルとフレディのマルチ・トラック、そしてクィーンが演奏しているバッキング・トラックのマルチ・トラックがあったから、それを組み合わせて曲を完成させることができた。パイというのは、色々な方法で焼けるものなんだ(笑)。この曲を制作する上で、まだ誰も聴いたことがない方法で完成させられたんだけど、出来にはとても満足しているよ。この曲を旧友のウィリアム・オービットに渡して、彼が別のミックスを作ってくれたんだ。バンドのサウンドを踏襲してくれたから私も気に入っているんだけど、このミックスは関係者全員がOKを出してくれたから、今作に収録できることになった。
Q:なぜマイケル・ジャクソンがこの曲のボーカルを入れることになったのか?
B:二人は友達だったよ。マイケルとはよく顔を合わせていたんだ。彼は私たちのコンサートに何回か足を運んでくれたんだ。彼はクィーンの音楽が好きだったし、フレディのことが大好きで、私たちのコンサートのライト・ショーやプレゼンテーションが好きだったようだ。私たちもマイケルと仲良かったし、彼とフレディは一緒にツルむことがあった。とてもカジュアルな関係で、二人は一緒に飲んだり食事をしたりすることがあった。その流れで二人はスタジオに入って、何が起きるか試してみたようだ。
Q:クイーンとマイケルの関係はどうして生まれたのか?
B:マイケルとは結構仲良かったよ。彼と飛行場でバッタリ会うことが多かったね。同時期にツアーをしていると、たまたまルートが交差して、同じ飛行場のラウンジで時間を過ごすことになったりするんだ。マイケルが私の息子のジミーと遊んでくれたことを覚えてるよ。当時ジミーはまだ幼かった。マイケルは、一緒にいてとても楽しい人だったよ。